25年前に入手し、長い間その時を共にした愛機。
全体に手の入ったカスタム車両ですが、オーナーさんとの長い歴史の中でこの形になっているものです。長い時間を共にした愛機は、乗り手との間で理屈では表現できない信頼関係の様なものが互いの中で生まれます。厳密には、乗り手が愛機の声を聴きとれる様になるわけです。この1100Rもまさにその様な関係が構築されていたわけですが、ふとしたトラブルから跨る事がなくなり、数年間ガレージの中で不動となってしまいました。
ふとした事というのは、この画像です。エキセンタイプのチェーン引きを持つS1タイプの社外スイングアームですが、ある時走行中にバキッ!っと大きな音がし、驚いて止まると、なんとこの部分に大きなクラックが生じていたのだそうです。
勿論、修理または部品の交換で再び走り出すことは難しくもない問題だったのでしょうが、その時オーナーさんのショックはあまりにも大きく、愛機から遠のいてしまったのだそうです。裏切られたわけではないのですが、何となく築いてきた信頼関係にヒビが入った様な気持ちだったのかもしれません。
今回は復活に向け、全体的なパフォーマンスの底上げとコスメ的仕上げもメニューに組み込んであります。やっと着手という段階でまだ完成までには長い道のりですが、オーナーさんと二人三脚にて、喜んで頂ける1100Rへと復活させるのが目標です。