Quantcast
Channel: PAMS不定期Blog
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1219

シリンダーヘッドの温度分布とエンジンの冷却

$
0
0
水冷のシリンダーヘッドの様に冷却を液体であるクーラントに頼っている場合、シリンダーヘッドは熱源をも言える燃焼室周囲を流れながら熱を吸収してヘッドからラジエターに導かれます。

この為、冷却水通路の設計を正しく行ってある場合、クーラントでの熱吸収が追いつかなくなる様な極端な高負荷運転を除いては走行状態に関わらずシリンダーヘッドの熱分布は割と均一となります。
ただ、熱吸収をシリンダーヘッドのフィンを通じての熱伝導と、その周囲を流れる外気に行う空冷エンジンの場合は、走行状態によって熱分布が極端に偏ると言う事を聞いた事がある人は多いのではないかと思います。

ちょっと見える様にしてみましょう。
ちなみここで使っているのは非接触式の対物温度計ですが、測定対象が黒く塗られていますと絶対的数値にはズレが生じますので、表示されている温度数値自体はさほど正確ではありません。(少々高めに出ています)
それでもこの状態で水滴をヘッド上に落とすと、みるみる沸騰して蒸発する程度にはなっています。

エンジンの状態は、暖気を完全に終了して安定した状態です。
ファンを使用して前方から風を当てています。感覚的には風速としては20km/h程度の物でしょう。

シリンダーヘッドカバー
イメージ 1
 

シリンダーフィン(外側)
イメージ 2


4番(外側)燃焼室の中心部
イメージ 3


4番(外側)燃焼室のエキゾースト側
イメージ 4


3番(内側)燃焼室の中心部
イメージ 5


3番(内側)燃焼室のエキゾースト側
イメージ 6

それなりにゆっくり走っている事を想定して風を流している状況でもヘッド温度の分布には結構なばらつきが出ている事がわかると思います。

これがもし、完全に風の通らない渋滞中であったり、必要以上に長々とアイドリングで暖気を行うとこの差は更に大きくなります。
通常の使用では即時エンジンが破損する様な事はありませんが、無用にその状態に置かれて使われたエンジンの場合はやはり経年による素材の劣化や歪み等が生じる可能性は高くなるでしょうから、頭の片隅に入れておいた方が良いでしょう。

更にこの状態でオイルの温度は75度前後、風を当てる事でそれなりに悪くない値ではあるのですが、Z系の様な空冷エンジンの場合、オイルの温度はあくまでオイルが適正に仕事が出来る温度であるかの判断材料に留めた方が無難です。

シリンダーヘッド裏やピストン裏にオイル噴射している油冷機と異なり、Zの場合冷却機能においてオイルが負担している割合は実は非常に低いです。
大きなオイルクーラーで油温が下がってもシリンダーヘッドはチンチンのヒート状態と言う事もあったりしますので。
空冷エンジンはヘッド周囲やシリンダーブロックに風を流して冷却しているのだと言う概念を忘れない事ですね。


Viewing all articles
Browse latest Browse all 1219

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>