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ESTシリンダースリーブ

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ESTシリンダースリーブが完成入荷しました。
 
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従来国産の高級シリンダースリーブに使用されてきた鋳鉄材であるスーパーターカロイをも上回る強度と耐摩耗性を持った最新の鋳造材を使用しています。
A7075が2000番台の超ジュラルミンに対して超々ジュラルミン(Extra Super Duralumin)と呼称されている事に倣い、当社内では超々ターカロイ(Extra Super ターカロイ)と呼称していたのですが、
この頭文字をそのまま採って商品名としました。
(”~est”が英語で”最上級”を表す接尾辞であることにかけて、最上級であるべしと言う願いもあるのですが。)
 
この材料は80年代迄の量産車に使用されている鋳鉄シリンダー材に対して、メーカー発表で2倍とされる耐摩耗性を誇る最新のものです。
価格が上昇するのを承知の上での採用ですが、品質と性能の良いものを永く使いたいというユーザーには認めていただけるものと思っています。
 
材質のみで無く、サイズにもこだわりました。
今回製作したチューニング用スリーブの外径は、初期のZ1,Z2のシリンダーブロックの剛性を残しながらフィン奥にも穴が開く事の無い78.6mm。
内径は71.5mmのものと72.5mmの2種類で、72mmと73mmピストンを使用するにも最小限のボーリングで可能な為、加工コストを最小限に抑える事が出来るのはもちろんですが、加工幅が少ない事で精度の高いシリンダーブロックの製作が可能です。
イメージ 3
 
又、74mmまでボアアウトしても片側厚で2mm以上が残る理想的なサイズです。
下端のテーパー形状と角度は、ピストンリングの組み込み易さを試行錯誤して決定しています。
自分達自身でエンジンを製作すればこそ、現場の経験を取り入れてある部分です。
イメージ 4
 
表面には厚さ3ミクロン程度の銅メッキ(この厚さでは既にコーティングですが)を施し、これを研磨仕上げする事でアルミのシリンダーブロックに対して金属分子レベルでの密着性を高めて熱伝導性を高めています。
又、圧入時のブロック側との摩擦による齧り傷の発生防止にもなります。
イメージ 5
 
さて、ピストンに関しては、チューニングの方向や考え方で様々なものが市販されていますが、スリーブに関してはここまでこだわったものを市販用に製作された事は無いと自信を持って言えます。
 
最初にこんなものが欲しいと考え始めてから既に10年以上かかってしまいましたが、思っていた通りの物を形に出来るのは作り手冥利に尽きますね。
 
さて、次期製作はブロック側の穴が拡大して、純正スリーブとの勘合が緩んでしまいやすいZ1用のオーバーサイズスリーブです。
これもESTと言う名にふさわしい、永く使える最上のものを目指します。

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