エンジンブローと言ってもバイクのではなくコンプレッサーです。(笑)
いつものファクトリーでの作業中。
午前に聞いてたコンプレッサーの正常な作動音がお昼を過ぎる頃にはなんだか甲高くピチピチパチパチ聞こえて圧が上がらなくなってきました。
エキゾーストガスケットが緩んだ場合によく聞こえるような排気漏れ音にもよく似てると、コンプレッサーケースを開けて一目瞭然。
左バンク側のヘッドガスケットが吹き抜けてました。
(手前に垂れているパイプは自分が点検に外したものです)
この暑さで圧縮室内の圧が極端に上がった為か?とも考えましたが、純正のガスケットを見てみると密着性のいいカーボングラファイトなのは関心するとして芯材が入っていない事が判明。
カーボングラファイトは素材表面に対する追従性に優れる上に耐熱性も高いので高温になる部分にはもってこいなのですが、それ自体は非常に柔らかいので芯材が入っていないと紙より簡単に裂く事が出来ます。
日本製の結構いい会社のオイルフリーコンプレッサーなのですが、ヘッドに付いているリードバルブアッシを定期交換する際にガスケットも交換されるからと考えたのか?
どちらにしても我々の仕事にコンプレッサーが動かないのは困りますが、すでに世間はお盆直前。これからパーツ発注した日には下手すると再来週位までコンプレッサー使えないなんて事になりかねませんし、新品でガスケットオーダーしても芯材が入って無いものだと過酷に扱えばまた吹き抜けする可能性もあります。
大体がコンプレッサーが必要な仕事は山積みなので部品の入荷を待っちゃおられません。だったら自前で作ってしまおうと思い立ちました。
こんな事もあろうかと予測していたわけではありませんが、幸いヘッドカバーやベースガスケットに使っている芯材入りのカーボングラファイトシートなら試作用途に持ってます。
先日のブログでも出ましたが、元の材料は結構大きいです。
A4と雑誌を比べてください。
カーボングラファイト材は指の腹で撫でただけでもその痕がわかるぐらいデリケートな素材なので保管に気を使います。
引掻いて表面削らない限り普通に使えますがあくまで商品の見た目としての話ですが。
先にヘッドを採寸して小学生が使う様な工作用紙で型を作ります。これを当ててグラファイトシートに極細の針で形をけがいてからカッターナイフで切ります。
普通の材料にするみたいに鉛筆使わないのは、グラファイト素材自体が鉛筆の芯に非常に近い材料の為です。
しかしこれが固い固い。芯材はグラスファイバーですから普通はカッターで切るものではありません。刃を折っては新しい部分を出しながら、押し切るようにカットします。力もいるので気をつけないと余った力で指切りそうです。
穴はポンチで打ち抜きしました。
吹き抜けたのは左バンクの1気筒だけでしたが、素材が同じならいずれ右バンクも同じことが起こるだろうと、2気筒とも交換する為です。
従って2種4枚作りました。
ちなみに当社のベースガスケットには芯材がメタルのものになっている熱伝導性の高いものもありますが、あれはカッターでは切れません。プレス型で押し切るのみです。
さて、コンプレッサー本体はモーターと一緒に台座に固定されているため、引っ張り出すのは難儀です。
横着してそのままの状態で大汗かきながらガスケット組み込み。
無事に正常動作も確認して終了。
オリジナル品よりタフなガスケットの組み込みで、あと10年は戦えると言いたいところですが、ガスケットがもっても今度はヘッドのリードバルブが先にめげるかも知れませんから、その時の為に台紙は保管しておくことにします。