Z1000J インジェクションフルコン仕様。
それなりに廻る様になったのでスロットルの開度同調を行った後、近場を走ってみました。
セッティング変更を容易にするのに、ECUのV120はケーブルで繋いでタンデムシートに貼り付けてあります。
知らない人は何かと思うでしょうね。(笑)
とりあえず転がせる様にした暫定マップなのですが、意外にも悪く無く、アクセルワークにも結構ついてきます。
昨日の記事で、フルコンインジェクションはとりあえず走れる様にするまでが最も大きな山場と書きましたが、そこを過ぎると後はどんどん良くなります。
長距離走れば当然修正する部分もどんどん出てくるでしょうが、そこらを走っている限りは既にZ1000Jの純正キャブのレスポンスもパワー感も上回っているのですが、遥かに上質な吹け上がり方をする為思った通りにバイクが動き、軽く感じます。
ストリート仕様なので、アイドリングの安定とその間の燃料消費を抑えるのにとりあえずそのあたりのみ3Dマップ化しています。
どうしているかと言えば、アイドル回転数で停車中にあたるバキューム負荷を検出した場合、回転数での燃料を少し絞って、点火時期を僅かに進めてみています。
クラッチミートして進みだす瞬間には負荷が増えるので、その場合はトルクを出す為燃料を増量しながら点火時期を遅らせます。
たったこれだけの事なのですが、これで驚く程アイドリング中は安定してしかも発進加速はスムーズかつトルクフルになります。
キャブレター仕様でもTPSやバキュームによる点火時期補正をかける事の出来るイグニッションシステムと併用した場合に限り、これに近いセッティングは不可能ではありませんが、キャブレタージェッティングによる燃調の匙加減でストリートでの極低速域の妥協点を探るのはレーシングキャブの場合意外に手間だったりします。
又、インジェクションの利点の一つがセッティング変更の容易さにあります。
使うECUによって若干その方法は異なりますが、基本的にはPCやタブレットを接続してデータを書き換えするだけです。
タンクや外装を脱着してキャブを外してトップキャップやフロートチャンバーを外してニードルやジェット類を交換する時間は不要です。
もちろんその作業自体を楽しむのもアナログなバイク趣味の醍醐味ですからそれ自体を全く否定するわけではありません。
但し、出先でキャブを開けてフロートのガソリンの匂いをその都度開放するには周囲環境が許さない場合も当然あるでしょう。
ちなみにこのECUの場合、一番左のUSBポートを使ってPCと繋ぐだけです。
この為セッティングの為の調整作業の容易さと言う部分ではインジェクションはキャブレターのそれを完全に凌駕するのは事実です。
高速道路のパーキングで端末使ってセッティングしても周囲に迷惑がかかる事はありません。
又、ニードルの変更と上に書きましたが、キャブの場合交換用のニードルが無ければもちろんどうにもなりませんし、別のセッティングを試したり段階を追っていく為には複数のものを用意する必要があります。
ところが、インジェクションの場合はニードルに例えるならその場で試してみたいニードルを好きなだけ作ってしまえるに等しい作業が可能になります。
しかも交換に要する時間は比較に出来ない程短くなる為、先刻迄乗っていたフィーリングとの感覚的な比較も容易です。
実際セッティングの変更作業にあまり時間がかかるとどっちが良かったかの判断は難しくなるのが普通です。
考え様によっては、フルコンを使ったインジェクションは電子化された仮想キャブレターと言えない事もありません。
あくまでツールですので、望んだセッティングを出せるかどうかは作業者のスキルによりますが、少なくともそれに至るまでの作業が大幅に簡略化されるのは否定出来ない事実だと思います。
昔はこの手のインジェクションを実現しようにもECUは基本4輪搭載が前提で大型な上に価格が非常に高くてバイクに使うには躊躇させられたものです。
(燃調も点火も制御できるとなるとビッグスクーター買える程の価格してたりしてましたので)
もちろん現在でも高性能多機能なレース用は結構なプライスですが、ライダーが自分のバイクに使うのであれば必要充分過ぎるレベルのものがレーシングキャブの価格を大幅に下回る程になってきています。
なかなかいい時代になりました。
楽しむ為の選択の幅が増えるのは悪く無いと思います。