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インジェクション初期マップの作成

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当社のZ1000Jの様に元々インジェクションでは無い車両にそれを使うとなると、元からシステムが付いている車両に追加して補正をかけるサブコンと違って、フルコンを使う事になりますから、全くデータの無いところからマップを作る事になります。
 
これがどういう事かと言えば、自然現象を利用するキャブレターの場合、ユーザーが各部のポイントー例えば各種のジェットだったりアジャストスクリュー、ニードル等を選んでやればその間の動作はキャブの方が知っていますので、ある程度は動くわけです。
例えるなら、職人と尊敬できる大工に適切な仕様書さえ渡せば、後はあれこれ言わなくとも段どって臨機応変にきちんとした仕事してくれるみたいなものです。
 
ところがまっさらのフルコンにマップと呼ばれるデータは何も入っていません。
最初は全ての基本数値入力とマップを作製する必要があります。
これがどういう事かと言えば、生まれたての仔馬ですら本能で立ち上がって母馬の乳を飲みに行くぐらい知っているのに、マップの入って無いフルコンは仕事の仕方すら知らないので、一から手取り足取り教えてやる必要があるわけです。
しかも、エンジンやスロットルボディの仕様等のハード面に対するデータが無い場合、マップ形状どころか最初に入力するべき設定値自体が全く変わります為、これに苦労する事になります。
実際、最初のマップを書く為の数値を決めるのに、既に同じECUを使ってる知人のものを参考にしようとしましたが、基本同じエンジンでもチューンの内容やスロットルのハード仕様が変わると全く違う数値になってしまいました。
同じ理由で、自分が書いたマップもハード的な仕様が全く同じか近似のものでない限りまず使い物にはなりません。
 
これがキャブだとベースが同じ系統のエンジンであればそれなりに参考になりますし、同じセッティングでとりあえずは動く場合が多いです。
 
何だかフルコンの扱い辛さをあげつらっている様ですが、実際このあたりが旧いバイクのインジェクション化フルコンチューンの普及を妨げる理由だと思います。
最初に走り出せるまでのマップに行きついてしまえば、後はキャブを外す必要も、ジェットやニードルを買い揃える必要も無く、セッティング作業のみに関して言うのであればコスト面でも簡便さでも上回っているのですが。
 
さて、無事に始動には成功したZ1000Jで使用している”紙ヒコーキ。”製V120 、とりあえず専用ソフトで暫定マップを作ってインストールしてみました。
燃調マップはアイドリングからとりあえず吹けてそのあたりならトコトコ走れるレベルに。
点火時期マップは回転数ー進角値のほぼ2Dの状態。
(TPSやバキューム補正を行っていないウオタニSP2verPAMSのものとほぼ同じ)
イメージ 1
 
 
上に書いてある通り、システム自体に対するデータの無い車両でしかも使った事の無いECUとなると、経験者でも使い方覚えるだけで結構手間だったりするのですが、簡単なマニュアル読んで数時間で普通に吹ける暫定マップを完了、夕方にはこの通りバンバン吹けるようになりました。
このあたりのユーザーインターフェースのとっつき易さは見るべきものがあると思います。
 
世の中には高性能であらゆる条件下でも補正がかけられる様な高性能なECUもありますが、あれこれ出来るからと使いこなせないのでは意味がありませんので、経験のない人程におすすめ出来そうです。
さほど高性能でもない昔のフルコンでも目を通すのが嫌になる数十ページのマニュアルが付属してきたものですが、V120は基本回路図とソフトウェアのインストール説明書を含めても10数ページしか無いのです。
旅客機飛ばそうというわけではありませんからマニュアルなんて薄いに越した事はありません。
ソフトウェアの仕様書なんてシンプルに出来るほど優秀なのですから。
 
騒音注意のアクセレーションテスト。
ハイコンプにしたチューンエンジンではなくフルノーマルのZ1000Jエンジンでマフラーもノーマル、エアクリーナーボックスに純正エアフィルターも入っている仕様ですが、純正キャブとは比較にならないレスポンスしています。
 
もちろん、FCRやTMR等のレーシングキャブをチューンしたエンジンに装着して、きちんとセッティングすればこれ以上のレスポンスで吹け上がらせる事は可能ですが、動画の様に繰り返し連続してポンピングする様にアクセル開閉出来るのは、バルブを持ちあげなければならないタイプのキャブでは無く、軸を中心にバルブを廻すバタフライ方式ならではの抵抗の無さ故です。
 
ただ、比較の為にこんな廻し方しているのは当社の保有車でテストの為にだけなので、普段やる事はありません。
無用なレーシングの常習はエンジン痛めるだけですので。
  
本日も少しアイドリング域と開け始めの燃調や点火時期を修正したので、更に安定して良くなっています。  

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