少し前に一般人でも購入可能なレベルの3Dプリンターで、発射可能な銃が作れるというのが問題になってニュースにもなっていました。
実際のところ、個人が買えるレベルのものは樹脂を熱や光で硬化させているだけのものなので強度も無く、そんなもので発射する事自体が射手にとって大きなリスクで無謀な事と、第一銃を作っても発射用の燃焼火薬(花火用では代用できません)や点火用の雷管は一般人にはまず入手出来ない事を考えれば、鬼の首取った様に危険だと騒ぐ事かなあと個人的には思いながら、でもこれがあれば鋳物用の木型なんかCADデータで自由自在なものが出来るな。
いやどうせなら金属そのもので出力出来たら、ワンオフ部品なんかそのまま作れるのでは?などと感じて、ネット検索してみればとっくに実現化されていて驚かされました。
方法としては、金属粉末を出力の高いレーザーで溶接しながら形にしていく様です。
早い話が延々長いレーザー溶接で盛って行くイメージです。
レーザー溶接は、私らでもトランスミッションシャフトの窪みを埋めて再加工するのに使ったりもしていますし、髪の毛の先ほどの溶接を繰り返し行う事で、時間はかかるものの非常に細かな部分の溶接を行える技術です。
これを3Dプリンターと組み合わせる事で、既に自動車やオートバイに使用出来るレベルの金属パーツを作成する技術は確立された様です。
しかも、鋳造やマシニングでは不可能だったり難易度の高い形状や構造も可能になります。
例えば中空構造や、内部に複雑に曲がった穴の通った構造の部品も思うままです。
機械自体も大掛かりな設備は不要ですし、例えば切削油も不要で削った際に出る屑も発生しません。
もちろん、それなりの金属部品を出力できる3Dプリンターとなると、かなりの高額で大型になるとは思うのですが、それすらもバイク部品を削り出せる5軸のCNCマシンの大きさや価格を考えると、メーカーレベルでは大きな障害にはならないでしょうね。
もちろん、量産品ではよりコストが低くて早く生産出来る方法が取られるにしても、試作部品やワンオフ部品の製作とスピードアップにはえらく大きな影響がある筈ですから、メーカーはじきに採用するでしょう。
試作車やワークスレーサーの車体パーツは削り出しでは無く、3Dプリンター出力されたものになるような時代はそう遠く無いものと思います。
更に削り出し部品が置き変わるだけでなく、表面は塊の様に見えても中身はメッシュ状のハニカム構造になっている恐ろしく軽量な部品などという、既存技術では実現不可能な構造の部品の製作も可能になってしまうわけですので、使い様では次元の異なるレベルの剛性をコントロールされながら軽量な、フレームを含むシャシー部品が出現する可能性もあります。
普及が進めば、一般オートバイのアフターパーツなんかの製作も可能になってくるかも知れませんね。