今日こなす予定だった一通りの作業を終え、夜な夜なこんな事やってます。
スプリングテスターを使って様々なデータ取りをしています。こういう作業は電話もならず、ご来店のお客様もいらっしゃらず、ただひたすら黙々と集中できる深夜がベストの様な気もします。非常に地味~な作業なのですが、時間を掛けてデータを取ってゆくと、色々な事が解ってきて面白くなってきます。同じバルブスプリングでも、車種ごと、またはメーカーごとに設計思想が異なることも珍しくはないですし、また年代を追ってその設計も当然変化(進化)しています。
上にあるハンドルをクルクルと回し、縦方向にSETされたノギスの様なゲージで移動量をモニターしつつ、手前のデジタル表示にある荷重を測ります。異なるスプリングを同条件で比較し、その特性の違いを比べています。
計測時にはこの様な簡単な治具を使用します。スプリングシート、ステムシール、計測したいスプリングにリテーナーとシム(この場合はインナータイプ)を。実際にヘッドにSETされた時を再現しています。使用したいカムの最大リフト値が解っていれば、リテーナーのボトムとステムシールとの距離、またスプリングの線間密着マージン等も一目瞭然です。
実は以前から、バルブスプリングに思う事が多々あり。例えば明らかに重さの異なるINとEXバルブで同じレートなのはなぜ?
またはZ1~J系~GPZ(1100R)各々のスプリング特性の違いも意外な発見となるほど!と思わされる事も。
ハイカム入れるから、ハイこの強化スプリングね!とその理屈も解らずただただレートの高いスプリングを入れてしまう事も少なくはないでしょう。ハイカムにしても、それにきっちり高回転まで正確な追従が出来る様にという事から、レートが高く巻きの粗い(線間密着回避)スプリングに交換される場合もあるのですが、逆に言えば追従できる範囲内であれば極力レートの低いスプリングの方がフリクションも減って、各部の耐久性も上がる筈です。
スプリングと言えば、フォークスプリング、Rサス、クラッチ等様々な部分に使用されているわけですが、とりわけバルブスプリングはその中でも圧倒的に過酷な環境に晒され、求められる条件も厳しいものがあります。また万が一の事があればブローにも繋がる為、性能はもちろんの事、確実な耐久性を確保したものを製作するとしたら最もハードルの高い領域であると認識しています。
でも、何年も掛けて貯めたデーターのお蔭で面白い提案も出来そうな予感です。