エンジン腰上を組み立てる際、スリーブ内側やピストン等の摺動部には当然オイルを塗布しながら作業するのですが、このオイルがガスケットの当たる部分に付着すると密着度が低下してシリンダーベース部分からのオイルリークの遠因となる場合があります。
ちなみに自分がシリンダーを組み込む際には下の様に作業します。
スリーブ内部にエンジンオイルを塗布した後、スリーブ外周面とブロックベースの油分は拭き取って更にパーツクリーナーやアセトンで脱脂。
そこにベースガスケットを乗せて、輪ゴムを1番2番間と3番4番間に巻きます。
この状態でシリンダースリーブを下げてピストンを挿入します。
ちなみにクランクケース上面も同様に脱脂してあります。
こうするとガスケットが落ちたりしてピストン側と接触しませんので、ガスケット側へのオイル付着が避けられます。
余談ですが、ESTスリーブは下部のテーパー部分を可能な限り大きくとっていますので、ピストン挿入時のリング入れ込みは経験者であれば驚くほど簡単です。
リングを噛みこませてボーリング済みのブロックを台無しにするリスクは低くなります。
ピストン4個の挿入が終わったら、スリーブ下端をクランクケース側に僅かに挿し込んで位置を決め、再度ケース側のアッパー面を拭き取りと脱脂します。
脱脂が終わったら、輪ゴムをカットして抜き取り、シリンダーブロックを着座させます。
こうすると、ガスケットにオイルを一切付着させる事無く組むことができます。
Zに限らず、似た様な構造であればあらゆる車両で使える手法です。