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分解

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              先日も少し登場したZ2エンジン、分解が終了です。
 
 
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単体にてお持込頂いたエンジンをスタンドにSET、オペの準備が整いました。48年製ですから40年選手というわけです。まずは簡単に分解工程を画像で並べてみます。
 
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ヘッドカバーを開けてみたところです。オイル焼け等による汚れの付着は見られますが、年式を考えれば上等です。カムホルダーボルトも健全、カムホルダーも揃っている様でまずは一安心。カムシャフトはノーマルです。
 
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次にIN・EXカムシャフトを取り外します。何箇所かカムホルダーボルトの回りに渋さが認められましたが、軽症です。カムメタルも健全な状態、というよりも過去に交換されてそれほど距離を重ねていない印象です。
 
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                                   リフターもSTD、少々磨耗による変形が見られます。
 
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割とトラブルの少ないTOPアイドラーなんですが、画像では解らないものの、内部でアイドラーギアがベアリング部分と分離を起してガタガタと動いてしまう状態です。
 
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                      この時点でヘッドには大きく問題となる損傷等は無さそうです。
 
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いきなりですが、ヘッドを下した状態に。センタートンネル部のシールに異形Oリング(GK)の入らない初期型特有の一枚物のヘッドガスケット。
 
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場所によって少々WETなピストンTOP。既に0.5mmへとオーバーサイズ化されているのがわかります。
 
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テンショナー側のアイドラーギア。ベアリング部分が完全に剥離して2ピース状態。毎度のお話ですが、定期的にカムチェーンテンションのチェックと調整を行っていた車両ではあまり見られない現象なんです。事実オートテンショナー化されたMKⅡではそれ以前のモデルに比べ少ないトラブルです。
 
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          テンショナーローラーです。少々脱線気味にドライブされた痕跡があります。
 
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シリンダーブロックを抜いた所です。シリンダースタッドの根元周辺にあまり小石や砂等の溜まりが少ない所を見ても、以前手を入れられてからそれ程距離を重ねていない事が想像できます。余談ですが、普通はシリンダーを引き抜くとバラバラバラッツ!っと堆積した小石や砂が落ちて、クランクケースの中に入らない様気を使います。まぁ何と言っても40年ですから。腰下まで開ける時はそれほどでもないのですが、腰上のみとなるとハラハラします(笑)。
 
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顔を出したピストンです。既に0.5mmオーバーサイズとなっていますが、こちらは純正部品ではありませんでした。リングの当たり方もまだ線アタリでこちらも距離を重ねていないという証拠。ただ、その割にはピストンスカートのアタリ方にムラが多いのが気になります。
 
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スリーブ内にも距離の割には深い縦傷や強いアタリがあるのが気になります。計測と検証作業はあとでまとめて一気にいきます。ちなみに傾向としてZ2・1系で懸念されるスリーブの緩み現象ですが、この個体は優秀。全く緩みが出ていません。
 
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カムチェーントンネル前方より取り外したスライダー(ガイド)。折損等のダメージはないものの、なんだか見た目にシックリ来ません。なんだと思いますか?
 
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なぜか画像の様に、丁度シリンダーブロック下面に切られた溝にはまる部分へダウウェルPINを被せて一回り太らせていたんですね。でもなぜ?
 
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たぶんなんですが、以前にこのスライダーが折れ内部で暴れ、この溝部分を大きく広げてしまった。そこで大きくなった溝に合わせてスライダー側を太らせた・・・ではないかと推察するのですが、出来ればブロック側を溶接・整形等でちゃんと直した方が精神衛生上宜しいかと思います(笑)。
 
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ここで大変な事に気が付きました!なんとフルレベルでエンジンオイルが入っていました。このまま気が付かず腰下分解工程に入り、スタンド上でクルッ!っと180度回転させようものなら、オイルまみれで大変な事になるところでした。早速血ヌキならぬオイル抜き。
 
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空冷Zのオイル漏れアキレス腱の一つでもあるステーターコイルから出る三相交流のコード取り出し。苦労の跡は認めますが、どんなに液ガス塗り重ねても、毎度の事なんですが元をシッカリ対策しないとすぐまた漏れ出します。こうなるのなら、液ガス塗らない方がいいです。結局漏れる訳でして、だったら何もしていない方が再対策が楽です(笑)。]
 
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血ヌキが完了後、クルッっとひっくり返してオイルパンを外してみます。どうやら腰下は過去に割られた事は無さそうなムードです。
 
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やはり、腰下は開けられてなさそうです。少なくとも以前腰上に手を入れられた時には腰下もオイルパンも開けられていないと思います。期待通り?にビッチリと溜まったスラッジ。洗浄し甲斐があるってもんです!ただ、指でスラッジを弄ってみると、ヘドロの様なスラッジに混ざり、底にが細かく砕かれた様な物が散らばっていて気になります。勿論、洗浄後にそいつが何ものかを突き止めたいと思います。
 
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     何事もなく、無事クランクケースが割れた所です。40年間お疲れ様!と声を掛けてやりました。
 
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取り出したクランクシャフトです。サビも少なく割りとキレイな部類のクランクシャフトです。目に見えて大きな問題は認めず、簡易的な位相ズレも同時にチェックで問題なし。
 
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STDのクラッチハブとトランスミッション。後に分解チェックを行いますが、クラッチハブのダンパースプリングに大きな緩みが数箇所見られます。こちらも良品に交換か新品のJハブかで行きます。
 
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という訳で、バラしたエンジンを作業テーブルの上に一先ず並べ、分解したまんまの状態をオーナーさんに見てもらいたく。この後全てをキッチリ洗浄、点検を施した上で状態を把握し、オーナーさんと一緒にメニューを決めてゆく感じです。
 
この先「開けなくても済む」エンジン、気合を入れて組ませて頂きます(笑)。
 
 
 
 

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