Quantcast
Channel: PAMS不定期Blog
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1219

物理的限界

$
0
0
入庫したエンジンを分解したところ、スリーブが社外品のかなり大きなものに交換され、ケースアッパーも拡大加工されていたので、念の為寸法を確認します。

以前にも何度か記事にしていますが、何度ベースガスケット交換を行ってもオイルリークするのでよく見てみたら、シリンダーブロックとケースアッパーとの間でガスケットを挟めてない状態になっていたと言う様な事があるからです。

最も寸法的に厳しくなるのはこれらの部分。
ブロック側のシリンダースタッドボルトが通る穴と、下側より開けてあるブロックの加工穴です。
ここの穴の直径は約16mmあり、意外な程大きいです。
イメージ 2

イメージ 1


ケースアッパーの穴径を確認。
約82mm。
イメージ 3

使用されていたスリーブの突き出し部分外径が79.5mmでしたので、多少大き目に加工されていますが、ほぼ限界の大きさです。

シリンダースタッド部分に16mmに開いたノギスを当ててみたところ。
ケース側の穴との間隔は実測でもたった2mm弱です。
これがこのエンジンのシリンダーベース面で咥えられているガスケットの最小幅と言う事になります。
イメージ 4

イメージ 5


ここまでガスケット幅が狭くなると、余程注意を払った上で組み立てせねばオイルリークの可能性は非常に大きくなります。

当社がアッパーケースの加工時に、スリーブ中心より寸法取りして可能な限りクリアランスを小さくして行うのは、これが理由です。
逆に大雑把に大きく掘り過ぎてしまうと、ガスケットが挟めなくなります。
こうなるとどんなに熟練のメカニックが高品質なガスケットを使って組んでもどうにもなりません。

その様に純正ベースのシリンダーブロックが使用不能になったクランクケースは意外なほど多いので、加工時の寸法には本当に注意が必要になるのです。






Viewing all articles
Browse latest Browse all 1219

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>