今迄にも何度か書いてきたのですが、ヘリサートコイルの長さについて。
以前に分解修理したエンジンでたまに出て来るのですが、短すぎるヘリサートコイル。
カムシャフトの脱着を繰り返すと、スプリングのテンションによってネジ山は入り口から次第に傷んで壊れてしまうのですが、それを補修する為にヘリサート加工を施すのは良いとして、写真の様に短いものを使ってしまうとコイルを保持するヘッド側のアルミの面積あたりの負担も大きくなりますので、早ければ次回の脱着時にはアルミのネジ山がコイルごと引き抜けてしまう場合すらあります。
これは2.0スケアと呼ばれるもの。
こちらは当社が使用する3.0スケアと1.5スケアの比較
エンジンカバー類を留める程度のネジ山であれば1.5や2.0位の長さでも問題はありませんが、カムホルダーの場合は強力なバルブスプリングに抗いながら組み付けせねばならないのはもちろん、そのスプリングを押し縮めながらの回転を一分間に数千回も行うカムシャフトの浮き上がりを押さえ込まなければならないのです。
適正なヘリサートコイルの長さは、Z1系純正の首下45mmのボルトの場合で2.5スケアと呼ばれるもの。
コイルの保持長さとボルトの接触面積を増やすのに使う首下50mmのボルトの場合は3スケアのものが適正となります。
2.5スケア以上のコイルを入れるには、ヘッド側の下穴近くまで最低2回程はタップで切る必要があります為に手間は増えるのですが、ヘッドの寿命を考えればヘリサート時には適正な長さのものを使いたいところです。