今日はクルマネタで失礼します。
以前にもお話し致しましたが、現在PAMSがファクトリーを構えるこの場所は、まわりに普段はまず見る事の出来ないレアなクルマたちを取り扱うショップさんが多く、そのテスト走行等を眺めているだけでも楽しい場所なんです。最新は勿論、旧いランボルギーニやフェラーリを筆頭に珍しいクルマたちが勢ぞろいといった感じです。
さて、今日はそれらと比較して可愛らしいとも言えるクルマなのですが、あらためてこの時代の日本車は魅力的だと思いました。丁度お隣さんの板金塗装工場に入庫していて、休憩時間に見入ってしまいました。
1964年に生産されたHONDAのS600です。1963年にS500として市販されましたが、数ヵ月後にはボア・ストローク共にUPしS600として登場したモデルです。後に更に排気量を800ccまでUPしたS800へと続いてゆきます。
今見るとえらくコンパクトなんですが、旧さよりも逆に新鮮さを感じます。正確には旧いのに「古臭くない」です。今から40数年前にこんあ格好いいオープン2シーターをHONDAは造っていたんです。しかも、当時のHONDAらしく凝りにこった造り込み。当時海外メディアではF1をそのままミニチュア化した様な・・・と表現されていたと言います。
ヘッドカバーに誇らしげなHONDAの文字。なんとこの排気量で4気筒・DOHC。しかも京浜製の負圧キャブレター4連装というバイクの様なエンジン。後に発売されたCB750ですらOHCでしたから随分と当時としては贅沢なパワーユニットだったのでしょうね。当時のバルブ挟み角の大きな2バルブ・DOHCらしく600ccという排気量の割には立派なヘッドです。
そして何と、そのレッドゾーンは9500rpmという4輪としては超のつく高回転エンジンです。きっと10000rpm位はアッサリと回っちゃうのでしょうね。ちなみに最高出力は58PS/8500rpm。ほぼL当たり100PSという高回転・高出力ユニットです。
インパネも格好いいです。独立したメター達が今にないレーシーなムードです。
それぞれのメーターには「DENSO JAPAN」という、ここにも誇らしげな文字が。
ちょっと触らせてもらいましたが、コクッコクッっと全く緩さや遊びを感じず、手首の小さな捻りだけでシフトが可能。気持ちいいです。クルマの10000rpmにコクコク入るシフト、そしてコンパクトなボディ。最高に楽しいでしょうね。
FはWウィッシュボーン・トーションバーの独立。冷却FINを持つドラムブレーキ。
そしてココが凄い!この当時では珍しい4輪独立サスなのですが、FRレイアウトでデフを持つのに、なんとそこから両輪に振り分けた駆動力をアリミダイキャスト製のトレーリングアームを兼ねる筐体の中でチェーン駆動にて最終的に駆動力を取り出しているんです。
独創的なだけではなくコスト掛かってますよね。よく見ると近年のスクーターの駆動系にも見えなくもありませんね。そしてそのサスの支持剛性確保の為か、しっかりしたサブフレームの様な物も見て取れます。
独創的なだけではなくコスト掛かってますよね。よく見ると近年のスクーターの駆動系にも見えなくもありませんね。そしてそのサスの支持剛性確保の為か、しっかりしたサブフレームの様な物も見て取れます。
40数年前ですよ?凄いなぁと毎度唸ってしまうんです。これ今発売されても欲しい位。この後70年代にデビューするZ1もそうなんですが、やはりこの頃の日本は色々な意味で勢いもプライドも桁違いにあったのかなと思わずにはいられません。
面構えも個性的です。誰にも似ていません。
丁度ライバル関係にある様なトヨタS800、通称ヨタハチも入庫していたのですが。
こちらも軽量、そして当時としては進んでいた空力ボディー、そしてフラットツイン(パプリカより流用)という独創的且つ面白いクルマですが、やはりS600と比較してしまうと・・・メカ的には敵わないかなぁというのが個人的印象。
やっぱり面白いですね、この当時のクルマやバイク。