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シリンダーブロック測定と純正オーバーサイズスリーブ

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分解したエンジンのシリンダーやピストンの摩耗状態を知る為だったり、ボーリング加工上がりの指定値が正しく仕上がっているかどうかをチェックするのにボアゲージでスリーブ内径を測定するのは、エンジンを弄るショップであれば結構当たり前に行う作業ですが、
シリンダースリーブを抜き取ったブロックの内径を測るのは、内燃機加工のプロならともかくショップでは頻繁にはやりません。
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ショップにシリンダーがある場合、加工済みのブロックにシリンダースリーブを入れた状態が普通だからなのですが、長年使用したブロックの状態を参考にするのにたまにこうやって測ってみたりします。
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さて、アルミ製のシリンダーブロックにはスリーブは温間圧入されるわけですので、当然ながら100分の数ミリレベルでスリーブの方が大きくされています。
この僅かに大きい分を"締め代”と呼びます。
 
これによって圧入された後に常温に戻るとスリーブは抜けなくなるのですが、長年使用すると膨張差でブロックの穴が大きくなり、スリーブの保持が出来なくなります。
分解したZ1系のエンジンでよくあるのが、スリーブを軽く押しただけで抜けてしまう現象ですが、この様な状態になっている場合の絞め代は大体0かむしろブロック側の穴の方が1/100~2/100mm程度大きくなってしまってたりします。
 
更に酷くなると、ブロックの穴の中でスリーブがグラインドする様に動いているものがあり、こうなるとブロックの内側に太めの縦縞になって残り、生じたクリアランスを伝ってオイルがケース側からヘッドガスケット面まで上がってきたりします。
この場合、シリンダーセンターのカムチェーントンネルをシールしているOリングの外側にスリーブ外周から出たオイルが滲みだしてきますので、ヘッドガスケットやOリングを交換してもヘッドの中心あたりからのオイル漏れが止まらなければ、スリーブが緩んでガタガタになっていないかも疑う必要があります。
 
さて、このブロックは状態も良く、絞め代も4気筒共規定値通り残っていました。
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但し精密に測ってみると長年の使用の為でしょうが、X軸とY軸方向の寸法も1/100mm程度の違いは出ていますし、各気筒間でも差はあります。
 
これが大きくなると、X軸ではきちんと絞められていてもY軸方向では隙間が出来ていたりする事もあり得ますし、事実測ってみるとそうなってしまっているブロックは少なくありません。
この為、例えばスリーブは抜けたり動いたりしないブロックなので大丈夫だと言う風には素直に判断出来なくなってきています。
 
更にシリンダースリーブにしても、外周が均一ではなくなっているものも多いのですから尚更です。
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最近はチューニングエンジンではなく、長く乗る為にノーマルに近いボアやピストンに回帰して、精度良く組んでほしいと言うお客さまも増えていますので、そういったシリンダーブロックを再生する為のオーバーサイズスリーブも製作中です。
 
使用するにはシリンダーブロックの内面をオーバーサイズに研磨ホーニングしていただき、真円を出した上で絞め代をとって圧入となるサイズでの製作を考えています。
スリーブ材質に限って言えば、40年前の純正鋳鉄に対して倍以上の耐摩耗性を持つとされている最新の日本製鋳造材がありますので、これを使用しましょう。
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