エンジンの調子その物は悪くないのに、ヘッド・シリンダーブロック間、そしてシリンダーブロック・クランクケースデッキ間両箇所よりかなりのオイルリークが発生していた車輌です。
何万kmそして何十年乗ってもオイル漏れは勿論の事、絶対にオイル滲みすらどこからも発生しない・・・というエンジンを組めと言われると正直自信がありません。機能的に支障のない範囲で多少のオイル滲みはその量や場所によっては目くじら立てなくても良いと思います。
ではオイル「滲み」と「漏れ」の違い、どこでそのボーダーを引けば良いのか?というお話しになるんですが、あくまでも個人的意見とお断りした上で、散々乗り回して自宅に戻り、よ~く見るとヘッドカバーとヘッドの間にキラリと光る物が・・・それを指で拭ってみると若干のオイルが付着、または、数週間サイドスタンドで停めた後、ジェネカバーの下に小さく1~2滴のオイル痕が、このあたりまでは「滲み」として受け取っても良いのではと思っています。
次に「漏れ」ですが、漏れたオイルが走行風に乗ってパンツの裾を汚す。漏れたオイルがマフラーに付着し信号待ちで白煙が立ち上がる。漏れたオイルが後輪にまで付着する。オイルが漏れた事によって帰宅後明らかにオイルレベルが下がっている。こうなってくると明らかに安全上機能上の問題となってくるため、修理を要する「オイル漏れ」とカテゴライズしています。
と言う事で、午後からサッっと腰上の分解。旧いガスケット剥がし、そして各部をチェック、面ダシ、脱脂、開けたからこそ出来る各部清掃を済ませ、ガスケット交換の後に夜までには組み上げてしまいます。
酷いオイル漏れにありがちなのは、以前に何らかの理由でエンジンを開けた際、ガスケットの選択ミスやトルク管理の甘さ、あわせ面に深い傷を付けてしまっている等の原因が考えられます。従って各部面の状態、シリンダースタッドの状態に気を配りながら新しいガスケットにて組み上げてゆきます。仮に深い傷などが出来てしまっている場合は、手作業ではなく機械加工にて修正面研等を行う場合もあります。
今回はガスケットの交換でイケそうです。と言っても、組みあがって火を入れて、ある程度走り回った後にオーナーさんから「OK!」を頂けるまで少々不安だったりするんですけど(笑)。
ちなみに、よく言われる「化学合成油は漏れる」「鉱物油は漏れない」というお話しですが、分子レベルで考えると確かにそうとも理屈で言えるのでしょうが、現実的に漏れるエンジンは何を入れても漏れるし、漏れない物は何を入れても漏れないと感じています。オイルではなく、あくまでもエンジン側の状態が大切。きちんと試してデータまで取った訳ではないので何とも言えないのですが。
どこかの国の方々が言う「漏れるのはオイルが入っている証拠だ!」というのはちょっと苦しい言い訳だとは思いますけど(笑)。