最近なぜか立て続きでお受けしているワンウェイクラッチの交換作業。
始動を試みるとカッヒーン・・・ガラガラガラッ~っと痛い音を立てて始動が出来ない・・・
長いことZと付き合っていれば一度位それを経験しているのではないでしょうか。
このZ1Rも上記の様な始動不良により入庫。
こちらは取り外したワンウェイクラッチ。見た目には少々汚れている以外これといった問題は無さそうに見えます。
この細長いスプリングとその上に被さるPIN、そしてローラで1SETが×3でボディ側に組み込まれています。市場にはこれらを主としたOHキットなる物が存在していますが、それを使用してOHを施しても症状が改善されない事も少なくありません。
画像だと解りにくいのですが、丁度細いスプリングが見える辺りですが、ローラーが摺動する溝の部分が段減りしています。
そしてこちらがスターターモーターの動力をクランクに伝えるスターターギアです。このギアの中心部分に先程にワンウェイクラッチが合体するのですが、このギアもこう見ると問題無さそうに見えて、消耗が進んでいます。
これも画像では解りませんね。研磨加工され光っている部分、ここにワンウェイクラッチのローラー×3個が噛み込んで一定方向のみロックする仕組みです。しかしこの部分も長年の使用によって段減りが発生し、上手くワンウェイロックが出来ずに弾かれて、嫌な金属音を立て始動不良に陥る原因の一つです。最初のカンッ!と言う音はワンウェイが弾かれた音、その後のガラガラガラ~は三個のローラーがロック出来ずに踊りながら空回りしている音と言う事です。
ワンウェイクラッチとスターターギア共に純正新品パーツに交換しました。
同時にスターターモーターも純正新品に交換しました。1000Pの純正部品ですが、ご覧の様に無加工にて取り付け可能です。トルクもSTDの0.6 kwから0.8 kw に増え強化されている優れものです。特に排気量、圧縮等を上げてモーターの負担が大きくなっている物には頼もしい存在となります。始動時に弱いトルクで回されるより、一気に高トルクで回す方が始動性は勿論、ワンウェイクラッチ周辺の消耗負担も少ないはずです。
取り外したSTD(左)モーターと今回取り付けた1000Pモーター(右)の比較。取り付けボルトピッチの関係上で全長自体は変っていませんが、モーター本体の大きさは逆に小型化されているのがわかります。
基本設計を長年変えずに生き延びてきた空冷Zだからこそ、後期型から流用の効く新品パーツがこの様に存在するんですね。昔は他メーカーが続々と基本設計からし直したNEWエンジンを4バルブで登場させる中、唯一基本設計を変えずに2バルブだったカワサキに?マークが付いた事もありました。しかし今になると、だからこそパーツの流用で助かっているという側面もありますよね。
明日も同様の修理が続きます。