見た目何の変哲もないステーターコイルとマグネットローターに見えますが、
これは昨今のアイドリングストップ出来るスクーターに使用されているACGスターター。
どういうものかと言えば、エンジン運転中は発電機として作用し、始動時にはスターターモーターとして動作する一人二役なシステムです。
ちょっと電気をかじった人であれば、実験でモーターを外部からの動力で廻すと電力が出力される事は知っている通り、モーターと発電機は同じ原理を表裏一体で使っているので、どうせならこれを一つにしてしまおうという考えから作られています。
この場合、モーターからのギアやワンウェイクラッチが存在しませんので、例えば始動時独特の"キュルキュル音”は一切しません。
信号待ち後の発進の度にエンジンを始動せねばならないアイドリングストップスクーターにはもってこいの構造ですが、機械的構造部分が簡素な事は摩耗消耗が原則起きませんので、理想的です。
それで無くとも通常は別体の部品となっているスターターモーターやワンウェイクラッチは意外なほど重量があるものですので。
現在のところモーターとしての性能限界もあって、サイズとしては125cc級のスクーター迄に採用がとどまっていますが、将来の技術進化で性能が上がった場合、もっと大型のバイクにも使われる日が来るのかも知れません。
始動時にスターターボタンを押すと聞こえ出す、独特のギア音やモータ音が無くなるのは少々寂しい気もしますが。