発売されてから既に数年。カスタム業界では結構有名な江沼社製EKチェーンのThreeDシリーズ。
ThreeD(3D)の名前が示す通り、本来平面である筈のチェーンプレート側面が立体的に成型されて独特のデザインになっているのが特徴です。
見た目だけのデザインなら特に性能面に見るべきものは無いので、洒落っ気以外の部分でお客さんに薦める事はありませんが、この形状は別に見栄えを良くしようとしたものではなく、性能アップの結果としてのものだそうです。
通常、チェーンのプレートというものは、圧延された鉄板をプレスでカットして製造されるのですが、このThreeDチェーンはプレートの1個1個を鍛造製法で強烈な圧を加えながらこの形に立体成型されています。
この為、プレスカットではどうしても生じるカット断面近くの強度上不要な部分を薄く出来、更に鍛造効果によって体積当たりの強度が上がるので同じ強度ならプレートを小型化して軽量に出来ているとの事でした。
軽量へのこだわりはピンの両端の軽め穴と、内プレートには更に穴を開けてしまっています。よく見れば内プレートも内側から面取りしてエッジ部分を薄くしてあります。
他社製品で同じく1200ccまでと規定された、同クラス強度のチェーンとの比較。
従来製法で作られたものより1サイズ程プレートが小さく見える分軽量化されています。
自社レーサーの空冷エンジンのフィンはもちろんの事、スプロケット迄穴だらけにしての軽量化に執念を燃やしたヨシムラのオヤジさんなんかがこれを見たらさぞかし喜んだのではと想像します。
もちろんレーサーのみならず高速で回転するチェーンが軽くなると、加減速時の性能はもちろんの事、燃費やチェーンの当たるスプロケットの寿命にすら好影響が出ますから、ストリートでの使用にもメリットはあるでしょうね。
それにしても、機能の結果として生まれたデザインは美しいです。
強度区分のみでいうのであれば、同じレベルのチェーンに比べて数千円割高ではありますが、この美しさと軽量化によるメリットを考えれば十分に元は取れるんではないかとも思ったりします。