前回の続きで腰下が割れ、一通りの分解が完了。
車体からエンジンを降ろす際、オイルを抜いたにも関わらず横にすると内部に残留したオイルが結構出てきます。粘性の高い状態の残留オイルでドロドロして流動性が非常に悪いもの。その為、各部に溜まったオイルがパンドレンからだけでは短時間では抜け切れなかったのだと思います。
オイルポンプの吸い上げ口にあるネットにはご覧の様に細かな金属粉が付着していました。実は軽く付着物を取り去っている最中に気付き画像に収めています。最初の時点では画像よりももっとビッチリ金属粉が付着しており、ポンプ効率の妨げになっていたと思われます。ちなみにオイルはオイルパンから吸い上げられネットを通して圧送され次にオイルフィルター室からフィルターを通過した後にエンジン各部に供給されます。
ケース上下を分離し、内部が露になりました。全体的に見てやはり過去のオイル管理は宜しくなかったと推察。
ケース合わせ面に残る液体ガスケットから、過去にも腰下が開けられている事がわかります。そして締結するためのボルト類はどれもオーバートルクで危機一髪。しかしどれも折れ込むことなくホッとしました。
一通り分解したパーツを仕分けし、一まとめに。この後ヘッドも分解、そして現状を確実に把握するため各部の洗浄&計測を行います。この洗浄が手間かかります。。。予算を割けば洗浄器なる物もあるのですが、基本は昔から手洗い。でも手洗いだからこそ見逃さず小さなトラブルを発見出来る事が多いのも事実です。
オイルパンの底に溜まっている様々な残留物の中にコレが落ちていました。形状と材質からして間違いなくシリンダーブロック、カムチェーントンネルの前方に取り付くスライダーが折損した物です。しかし、ブロックにはスライダーが付いており以前に折れてオイルパンへと落ちたものと思われます。
という事は、以前腰下まで開けられていたものの、その後にスライダーが折損した。そして腰上のみの開け閉めでスライダーを装着・・・その際にオイルパン清掃は行わなかった。の様な推察ができます。
そして折損したスライダーを見る限り、かなり頑張って頑張った後に耐え切れずオイルパンへと堕ちていった事が解る傷み方で、その際に出た削り粉がオイルに混入してポンプの吸い上げ口に酷く付着したと考えられます。
話が長くなるので割愛しますが、ただ分解するだけではなく、分解しながら各部の状態を見つつ、以前に何がこの個体で起きていたのか?等を探り考えながらという作業だったりします。実際に計測そして必要な加工や処置を行う上で、それらが役に立つ場合が多いんです。
そして、分解作業の途中であまりにも汚れの酷い物はざっと粗洗いしながら進めてゆくのですが、以前に半端な黒塗装がされていたらしく、そこへ砂と汚れとオイルが混ざり固まっていて汚れが取れない取れない。ここまで来るの大変。
分解作業工程で、今回はこのオイルパン洗浄に最も時間が掛かっています(笑)。