整備預かり中のチューンドZ1100R。
仕上げにダイナモで測定してみたら、増大した最高出力手前でクラッチがずるずると滑り出してしまう事が判明。
幸いにしてレブリミッターが装備されていますのでオーバーレブは防止できるものの、これでは全開域でのセッティング確認が出来ません。
オーバーホールを兼ねたチューニングを行った際にフリクションプレートは純正のまま新品になっているという事でしたので、とりあえずクラッチスプリングにシムスペーサーを圧着力を上げてみるものの、プリロードを2mm増やしても変わらず滑り出してしまいます。
これはやはりフリクションプレートそのものに手を入れるしか無いという事に。
ちなみにPAMS-FCCクラッチキットの商品ラインナップを見ていただくとわかるのですが、Z1000J,Z1000R,Z1100GP用は設定されているもののZ1100R,GPZ1100用はありません。
理由はこのハブの違い。
一見バックトルクリミッターに見間違えそうなデザインですが、実際には加速にも減速方向にも内蔵する多数のスプリングが作用するショックダンパー構造になっています。
この構造でセット長が変わる上、スプリングが6本にもなっている為にレートが合うものが準備出来ていない為にセットとしての設定をしていませんでした。
但し、フリクションプレートやクラッチプレート(メタル)の規格はJ系と同じですからこれらはもちろん使用可能です。
フリクションプレート9枚をこのPAMS-FCC製のものに交換し、クラッチスプリングはZ1100R用の純正のまま、先ほど入れたシムは外してしまいます。
ハブを点検の為に取り外したので、消耗品のハブナットは新品に。
新品のナットは実は製法が変わっており、座面はより接触面積が大きくなる形状に変更されていました。
仕切り直して再測定。
セッティングの為にダイナモ側のリターダーを起動して負荷をかけながらしつこいくらい廻しても今度は全く滑りません。
新車当時採用されていたコルクフリクションプレートだと、スプリングプリロードを上げても滑ってしまったものを、摩擦容量に廻る最近のペーパータイプフリクションプレートに変更する事でプリロードを下げても滑らなくなったわけです。
クラッチなんて操作が軽いに越した事はありませんし、思い切って交換して良かったです。