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バッテリー性能測定

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オートバイに求められるバッテリーの性能とは?
以前にも書きましたが、容量の大きさではありません。
 
必要なのは始動時にどれだけ一気にセルモーターに電力を供給できるか。
その際に電圧も保っていられるかです。
セルモータ-を勢いよく廻せなければ話になりませんし、電圧が極端に降下してしまう様だと、イグニッションプラグからの強力なスパークを行うには、コイルを含む点火系にも適正な電圧が必要だからです。
 
これらを両立させるのにバッテリーが大きなものになるのは、一般的に容量の大きいもの程上記の性能が高くなるからで、決してバッテリーに貯め込める電気量そのものが重要なわけではありません。
電気モーターで走るなら別ですが、内燃機関で公道を走るオートバイはエンジン運転中は装着されている発電機が電力を供給します。この機能さえ正常でありさえすれば始動後にはバッテリーのものの大きさはむしろ、余計な重量物になるわけです。
 
バッテリーの進化ですが、通常の液入り解放タイプから密閉式、内部ジェルタイプ、リチウム系のドライセルを使うタイプと形式が変わるにつれてエネルギー密度が高くなってきています。
その為、容量が大きい程一気に放電出来る性能は高くなる性質は変わりませんが、後の物ほどより小型になっても以前の方式のものと同じだけの瞬間放電力を持てるようになってきています。
 
さて、先日持ち込まれた新型ドライセルバッテリーのテスト中。
搭載状態でセルを廻してクランキングする為の瞬間最大電流をクランプゲージで測定します。
イメージ 1
 
セルモーターコードに流れる大電流を、周囲の磁界を測定する事で計算出来るテスターを使います。
こういったテスター。交流用なら電気工事用で結構あるのですが、自動車やバイク用で直流の変化をはかれるものは意外と少ないです。
これで具体的な数値まで公式なものとして使えるレベルの測定器だったりすると
ちょっと腰の引ける値段になりますが、多い少ないの比較基準検証出来るレベルの物であればそれ程ではありません。とは言え、こんな目的ぐらいにしか使わないので、やっぱり整備業にしか用の無い代物です。
 
クランキングした際の最大電流メモリです。ずっとこの電流が流れているわけではありません。モーターが廻り始める瞬間の数値です。
流石リチウムバッテリー、小型でも十分な放出電流です。
イメージ 2
更にギアを入れ、半クラッチ状態で意地悪に負荷をかけてクランキングした際の数値。
この大きさでこれだけ出せれば上等です。
イメージ 6
 
こっちは逆にクランキング中の瞬間最低電圧のメモリ数値です。
これが小さくなればプラグのスパークも弱くなるので始動性は悪くなります。
イメージ 3
なかなか良好な数値ですね。
 
ちなみにこれは従来の液入り開放型タイプのバッテリー。
190CCAと書いてあるのが、始動性の目安になる数値です。
イメージ 4
 
リチウムバッテリーの場合同じ規格で測定が出来ないので、メーカーの出す目安数値を信じるしかないのですが、現物さえあれば上記の様な測定で実際に使えるかどうかや性能の可否判断は可能です。
 
余談ですが、このサイズのバッテリーは既に日本国内では生産しておらず、海外に拠点が移ってます。
イメージ 5
 
この為、バッテリーに関しては国産であるかどうかを信頼性の基準に出来る時代は終わりました。
良否判断を自分でやらなければならないという事ですが、それでも極端に安いものはそれなりの性能だったり、性能はまあまあでも当たり外れの差が大きかったりするのが普通ですので、購入は自己責任ですね。
 
 

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