先日の記事において、エンジンにかかる負荷の説明と、それに対する適正な点火時期について、実験を交えて説明しました。
http://blogs.yahoo.co.jp/pams_jp/63150721.html
アイドリング状態の様な極低負荷状態において、点火時期を進めてやると回転が上がる事から、燃焼効率が上がってエンジンはより廻る様になる事が証明されています。
ただ、これはエンジン自体のフリクション程度しか無い極々低負荷の状態での検証で、実際の走行状態の様に負荷がかかった状態ではどうなるかとなりますので、これも測定してみます。
http://blogs.yahoo.co.jp/pams_jp/63150721.html
アイドリング状態の様な極低負荷状態において、点火時期を進めてやると回転が上がる事から、燃焼効率が上がってエンジンはより廻る様になる事が証明されています。
ただ、これはエンジン自体のフリクション程度しか無い極々低負荷の状態での検証で、実際の走行状態の様に負荷がかかった状態ではどうなるかとなりますので、これも測定してみます。
さて、以下のダイナモデータはダイナモ上で4速全開にして測定したパワーカーブ。(クリックすると大きくなります)
2つのデータですが、これは負荷補正入力を行ったものと行わなかったもの。
2次元マップと3次元マップの両方を使ったものですが、正直言ってパワーにもトルクにも違いと言う違いが見受けられません。
これは、ある程度負荷をかけて測定すると3次元マップでも点火時期は最大遅角したエリアを使う為です。
3次元マップで言えば、下のオレンジのところです。
このエリアに入る様な開け方をしている限り、点火時期数値そのものは補正を入れても入れなくとも違いはありません。
ダイナモ上の最大出力測定時には負荷はかかってないとはいうものの、実際のところは数百kgの重たい鉄のローラーを単位時間に加速させてその仕事量を演算しているものですから、実際に最高速度付近でかかる様な風圧や路面抵抗程では無いにしても無負荷ではありません。
その程度の負荷でもこの様に最大出力に違いは出ないと言う結果が出ます。これで更に負荷をかけても点火時期は同じになるでしょうからカーブは重なったままです。
これが何度か言っていた通り、原則負荷をかけてのアクセレーションしか行わないサーキット走行に類する様な走り方の場合、点火時期制御を入れようが入れまいが殆ど違いは出ないという事の理由でもあります。
それでは、もっと負荷の少ない状態で測定してみたらどうなるか。
以下のグラフはあえて低負荷になる様にローギアでレッドゾーン迄廻してみたものです。
イメージすればわかるのですが、負荷が少ない分アクセルを大して開けなくともあっという間にレッドまで廻ってしまいます。
最高出力が上のダイナモデータより低いのは、アクセルが全開になる前にレッドゾーンまで廻ってしまう為です。
キャブの口径が小さくなったと同じ事が言えるわけです。
負荷の少ない廻し方をした場合は、以下のマップの赤い部分を読む様になっているのですが、この場合は点火時期が進む事で明らかな差が出ました。
レッドゾーン領域でのピークパワー3馬力の違いは殆どの人が感じ取る事は出来ませんが、4,000rpmでの3馬力0.4kg-mのトルクの違いは結構わかります。
但し、普通に走っていて低負荷とは言ってもローギアのまま低速からレッドゾーンまで使う様な走り方は滅多にしないとは思います。
ドラッグレースのスタートの様な走り方をすれば別ですが、負荷がかからない様なギア比で走ると回転こそ一気に上がってもスピードが出ませんし、あまり現実的な走り方ではありません。上のデータはあくまで参考程度に、低負荷状態では点火時期が進むように制御した方が出力馬力は高くなると言う証明位にのみ記憶にとどめて下さい。
今度はダイナモのリターダーブレーキとその制御システムを使って、より現実的な走行条件下の再現をやってみます。