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エンジン負荷と点火時期の関係③

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前回、前々回の記事において、アイドリングやクルージング状態等の低負荷状態でのエンジン運転中には点火時期を早める事で燃焼効率が高まり、実際にアウトプットされる出力も向上している事がわかります。
 
 
 
今までの実験では、アイドリング時やアクセルをワイドオープンしてのものでしたが、今度はより実際の走行時に従った測定方法で証明してみます。
 
当社で導入しているダイナモは最大馬力測定を行えるのは当然の機能として、リターダーブレーキシステムと、それをコントロールしながら負荷解析を行うトルクセルシステムが付属しています。
 
一般的にシャシーダイナモという機械は、重たいローラーを加速回転させる事でのみ出力を測定する装置なのですがそれらのシステムを使用する事で通常は不可能な一定速度下での出力変化やデータ解析が出来る様になります。
 
例えば点火時期やインジェクションのセッティングを行うのに、一定負荷をかけた定速運転状態のまま、点火時期や燃料噴射量を変化させて出力変化を見る事が出来るわけですから、それらのセッティングには不可欠なシステムと言う事で導入しました。
 
 
この機能を使ってみます。
ダイナモ上でアクセル開度は少し開けて固定。
システムのリミット速度を60kmに設定して、これ以上速度が上がろうとすると、ダイナモに固定された電磁ブレーキが働いて速度を60kmに維持させます。
電磁ブレーキの効き具合はコンピューターで制御されていますが、この際にブレーキ力が大きくなる方がパワーが出ていると言う事になります。
 
これが低負荷一定走行中に点火時期を2次元マップそのものを使ったもの。
点火時期は最大負荷時と同じです。
左下のブレーキ率は21パーセント
イメージ 1
 
これが同じ状態でウオタニユニットに低負荷走行中であると入力してやったもの。
点火時期は大体5度、2次元マップの物より進んでいます。
この場合、ブレーキ稼働率は24パーセントと大きくなりました。
イメージ 2
 
速度が一定のクルージング状態でエンジン回転数も変わっていませんが、上下を比べると点火時期制御を入れて進角させた場合の方がブレーキ稼働率が大きくなり、その分押さえ込まないと速度が上がってしまう=力が出ているわけです。
 
これを実際のストリートでの走行に置き換えれば、低負荷時には点火時期が進角する様に制御してやれば、同じアクセル開度でもより前にバイクは進もうとする様になると言う事になります。
 
さて、低負荷運転である事をどうやって判断するか?
一般的な手法としては、TPS(スロットル開度センサー)を使用します。回転数の割に開度が大きければ負荷が大きいと判断し、逆に開度が少なければ負荷は小さいと予測判断します。
 
ところが、今回私が使用しているのは実はバキュームセンサー。
イメージ 3
 
ブログを読んでお問い合わせいただいた何人かのお客さんの予想通りです。
マニホールドの吸気圧力はエンジンの負荷状態を表しますので、これを測定する事で直接負荷状態を読み出して、ウオタニユニットに入力しています。
 
実は以前当社の代表に写真を公開されてしまいました事があります。
イメージ 4
 
これは、バキュームセンサーで検知している負荷状態に応じて、出力電圧が理論通りの反応速度や目的数値で出ているかを実走して確認していた時のものでした。
イメージ 5
 
さて、バキュームセンサーは現代のインジェクションシステムには欠かせないものですが、現行車の全てがインジェクション化された現代、このタイプのセンサーの性能も10年以上前のものとは比較にならない程向上しました。
又、装着されている車両が多い為、様々な仕様や特性のものが選べますから、その中から丁度いいものを見つける事も可能です。
 
ウオタニユニットにインストールされている3Dマップは元々TPS出力を入力して負荷予想する為のものなのですが、検証した結果、ASウオタニさんのところのオリジナルユニットや当社宛てに製作してもらっているver.PAMSユニット他、条件の合うマップのインストールされているものであれば充分に使えそうです。

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