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Z1000系シリンダーブロック

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これはKZ1000(A1,A2)のシリンダーブロック。
イメージ 1
 
 
ブロック肉厚の薄いZ1,Z2系に比べると比較的シリンダースリーブの緩みが発生し難いと言われ、実際常温で多少力を加えても動かないものの方が多いです。
このシリンダーブロックも軽く押したくらいではびくともしないので、このままボーリングして組み込みとされる場合も多いのではないかと思います。
 
そこでちょっとこの炎天下に屋外に置いておきました。
確かに人間なら熱中症になって当たり前ではないかと思われる位の暑さなのですが、
内部で圧縮した混合気を燃焼させているシリンダーブロックにしてみればどうってことは無い程度です。
イメージ 2
 
 
結果。
イメージ 3
 
当たり前ですが、いくらこの時期の関東地方が暑いからと言っても内燃機加工工場でスリーブ交換の為の温度まで上がるはずはありません。
いいとこ数十度なのですが、軽く押しただけでスリーブは浮き上ってしまいました。
イメージ 4
 
 
シリンダーライナーの回りにオイルが侵入して濡れているのがわかります。
イメージ 5
 
Z1000(A1, A2)は、シリンダーブロック下側にオイル侵入に対応する為のOリングが一応入ってはいるのですが、エンジン運転中に膨張したアルミのブロックと鋳鉄製シリンダースリーブの間に生じたクリアランスの為に侵入したものです。
 
オイルが入り込んで液体の状態で残る位ですので密着性は低下していますから、スリーブからブロック側への熱伝導性も相当に低下している筈です。
(たまに勘違いされる場合があるのですが、オイルが侵入するから熱伝導性が悪くなるわけではありません。オイルの侵入は密着が出来なくなるほどのスリーブの緩みの結果で起きているものです。)
 
さて、Z1000系のシリンダースリーブ上面のツバ部分はZ1系のものより僅かに大きく、カムチェーントンネル部分のシールリングの溝に一部食い込んでいるのが特徴です。
イメージ 6
 
この為、シリンダースリーブが緩むと、エンジン運転中に上がってきたオイルがこのOリングでシールしている外側に滲みだしてきます。
上の写真を拡大すると良く解ります。
イメージ 7
 
こうなると、何度ヘッドガスケットやシールリングを交換してもヘッド面よりのオイル漏れは治りません。
当社のヘッドガスケットも、開発終了したバイトン製のOリングも非常に高品質な製品ではあるのですが、寸法的にシール出来ていないこの場所からのオイルリークには対応出来ないのです。
何せオイルはシールしている部分の外から湧き出してくるのですから。
 
万が一ガスケットを交換してもヘッドからのオイルリークが再発してしまう場合は、シリンダースリーブの緩みを疑ってみてください。
 
又、エンジンオーバーホールの際にシリンダーを取り外したのなら、スリーブの緩み点検は軽く温めてから行われる事を推奨します。

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