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露天掘り

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本当に屋外で作業やってるわけではありませんが、車両搭載状態で馬鹿になった雌ネジの修理作業を自分は露天掘りと呼びます。(笑)
 
イメージ 1
 
カバーやパーツの脱着を繰り返すと、アルミの雌ネジは絞め付けられる度に痛んで最後にはトルクもかけられなくなる程に引き抜けてしまいます。
こうなると最もメジャーな修理方法としてはヘリサートとなるのですが、さほど精度も必要なわけでもないカバー等を留める6mmネジ穴だけの修理にシリンダーヘッドを取り外したりクランクケースを割って単品の状態にして加工機に据え付けるのも現実的ではありませんし、お客さんへの工賃や時間、部品代の負担も大き過ぎるので、この様な修理方法を採る場合もあります。
 
ネジ山周囲を清掃して、下穴開けはドリル刃にアダプターを付けて手でゆっくり慎重に行います。電気ドリルを使うとどんなにマスキングを厳重にやっても勢い良く削った欠片が広範囲に飛び散ってしまいますので。
 
下穴がしあがったら、タップは切り屑が上に上がって来るスパイラルタップでなく、穴の底に貯められる様に通しタイプのタップを使います。
そうしながら先端を細く改造した掃除機を使って僅かずつ削った端から切り屑を吸い取りつつ作業します。
イメージ 2
 
 
掃除機が写ってないのはカメラと同時に構える事が出来ない為ですが、奥側と右側の穴にタップを入れてあるのは垂直度を比較確認しながら掘り進める為です。
ボルトでなくてタップなのは、ボルトの場合のネジ山の交差で微妙に傾く事がある為です。タップだと正常なネジ山にはガタも無くきちんと垂直が出ます。
イメージ 3
 
下穴の底に溜まった切り屑を外に出さない様に慎重に清掃してからヘリサートコイルを挿入。
最後に6mmのロングタップを入れてみて他の場所との平行度を確認して終了。
イメージ 4
 
フレームの下にあたるネジ山なんかだと少々てこずる場合はあるのですが、垂直度に相当にシビアな場所で無ければこんな感じで修理は可能です。
 
マスキングについてですが、修理箇所周囲をマスキングしてもドリルを使ったりガンガンタップでネジ切ると切り屑が飛び散ったりマスキングの際の部分から内部に侵入してしまう場合が多く、だったら目視しつつちびちびと削った端から吸ってしまった方が間違いないと、経験から判断しています。
もちろん万が一にでもとりこぼしたものが燃焼室に侵入するのはまずいので、プラグホールやインテーク,エキゾーストポートにはカバーして、他の場所には適時布等を被せて作業する様にします。
 
もちろんこれはあくまで私のやり方であって必ずしも正しいというわけではありません。
実際のところ余程この手の作業に慣れてないと垂直に掘るのにはコツがいります。
これを見て同じ方法で自分も出来るというのでは無く、難しいなと思ったら変に手を出して取り返しのつなかい状態にする前にプロに任せてしまうのが近道だったりもします。

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