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Channel: PAMS不定期Blog
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カーブ比較

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これは当社で製作した2台の全く異なるチューニングを施した2台のZのパワーカーブの比較。(見にくい場合はクリックで拡大します)
イメージ 1
 
青い方はハイカムに社外ピストンを使用して圧縮比はそれなりに上げながらバルタイは高回転重視に振ります。FCRのファンネル仕様に排気系はそれなりに抜けのいいものを組み込んで124馬力超
 
赤い方はZ1にオーバーサイズピストンを組み込んで圧縮も上げずにカムもノーマル。キャブはTPS付きCVK32のノーマルエアクリーナーボックス仕様(純正フィルター入り)マフラーは後期の割と静かになったもの。
キャブ以外はほぼノーマルのZ1とも言える仕様で66馬力弱。
 
点火系はどちらもウオタニのver.PAMS
 
クランクストロークも燃焼室のヘッド側形状も同じエンジンでもチューニングによってここまでの馬力の違いが出てしまうのには驚きです。
馬力ではほぼ2倍の差があるのですから。
 
さて、それでは半分しか馬力の出てない側のZ1がどうしようもなく遅いかと言えばどうでしょう?
 
上のパワーカーブ、キャブの特性が違う為にどうしても使える測定データを採れる開始回転数が異なるのですが、赤いカーブは低速域から意外にも馬力が出ているのが判ります。
中低速域はさほど正確には出ていないにしても、明らかに青いカーブの車両より低速域では上回っています。
 
更にトルクカーブ。
公道で一般的にアクセルを開けて加速する際にライダーが感じる早さ感はパワーではなくトルクです。(同様にクリックで拡大)
イメージ 2
 
最大トルクでも青いカーブは赤いカーブを軽々凌駕しています。
青いカーブの車両を全開加速したらさぞかし場所を選ばないとおっかない加速します。
では赤いカーブの車両はと言うと、最大トルクでは遥かに及ばないものの、何と2900rpmの時点で最大トルクの9割以上を発揮しています。
TPSによる点火時期制御は負圧キャブにこそ最も相性がいいというのもありますが、ほんの僅かにアクセル当ててクラッチミートした瞬間からほぼ最大トルクが出て、これがほぼ倍の最大トルクを持つ車両のそれを上回っているわけです。
 
この為、赤いカーブの車両は街乗りからそれなりのツーリングスピード迄、馬力スペックからは想像も出来ない程乗り易く滑らかに走ります。
燃費も良く、オーナーはどんどん距離を伸ばしています。
 
対して青いカーブの車両は、これぞバイクの楽しみだと言わんばかりに高回転まで一気に太いパンチで単車を加速させていきます。
一緒に走ったメガスポーツオーナーに”こら旧車だからと舐めれんわ”と言わせられる程の速さです。
 
さて、この2台のチューニングのどちらが正しいわけでもありません。
ただ、バイクのエンジンの馬力の違いだけが現実の楽しさの決定的差ではない事が判るのではないでしょうか?
 
ノーマル状態では同じエンジン。
望む楽しさに合わせてチューニング方法は選ぶべきでしょうね。
 
 
PS:カタログ82馬力のZ1の測定値がそんな少ないわけ無いという人もいるかも知れませんが、後期の排気系に純正エアクリーナー着けて、実口径で純正のキャブと大差ないCVK32ではこんなもんです。
これをレーシングキャブやマフラー等変更してセッティング出して当社のマシンで70馬力越えればノーマルとしてはかなり調子のいい方です。
特にPAMSで使っているダイノマシンはお世辞が嫌いなのか、サービス精神にも欠ける可愛げのない機械なので、メーカーカタログ130馬力オーバーの最新型現行車でも110馬力ちょっとだぜと表示します。
ダイノマシンには明確な校正基準が無いので、数値としての馬力自体には意味が無く、あくまでセッティング等の際に変化を測定するのが主な目的の為のツールであるとは以前にも書いたとおりです。
上の様に、同じ機械でさほど時間もおかずに測った場合にのみ他車間での比較には意味が出てきます。

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