同系列の車体、同系列のエンジンばかりに触れていると、OHやレストレーションといった「単語」がいかに定義のない曖昧なものかを実感します。その割に内情を知らないお客様方は元がどんな状態にあっても「OH」「レストア」という魔法の単語を耳にすると、全てが新車の様にイコールコンデョションになると思われる場合も少なくはない様です。
例えばクランクシャフト。空冷Zの特徴でもあり、その独特な乗り味にも大きな影響を及ぼしている要的部品ですが、酷く傷んだものは例外を覗き100%新品の状態に巻き戻すのは困難を極めます。長くなるのでその理由はまた次回に。
画像にあるエンジンはベース車両お持ち込みでコンプリートカスタムされるZ1の物です。クラッチハウジングのダンパースプリング、破損どころかどれ一つとして緩んでる物すらありません。各ギア等の状態、ほぼパーフェクトです。帳尻合わせのクリアランス調整等まったく必要としません。分解そして洗浄の後チェック、ベアリング類等の消耗品を全て純正新品に戻してやるだけで十分だと判断しました。
各ネジ山の傷みも少なく、人為的にイジり壊れた部分は皆無です。
ほぼメーカーマニュアルに沿ったリビルトで新車に程近い状態に復帰するという事です。しかも「無駄な復元コスト」が掛からないというオマケまでついてきます。
エンジンも車体も、「どうせ1からやるんだから、ボロくても安いベースで」というお話を何度も耳にしてきましたが、現実はそうでもないんです。
場合によっては「無駄な復元コスト」を必要とするあまり、最終的なコストが逆転してしまう事も珍しくはありません。しかも現実は残酷な一面も持っておりまして、コストを掛けたにも関わらず、「スタート」が違うと頑張ったのに「ゴール」も違う場合がほとんどです。
見た目にキレイになってても、同じ友達のZに乗ったら何かが違う・・・しかも大きく違うなんて寂しいですよね。
「OH」「レストレーション」=全てが新車状態ではないというお話でした。特にレストア車両を狙う際、既にベース車両選定の時点でその作業が始まっていると思って間違いないと思います。