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圧縮圧力「ゼロ」の訳

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  高速を気持ちよく飛ばし、料金所を出た後に突然調子を崩したというZ2。
 
     それまでは調子良く走っていたと言う事なのですが・・・
 
お客様がご自分でコンプレッションを計測した所、なんと3番だけがゼロ。
 
   そして他のシリンダーも全体的に低めで5~6kgという値との事。
 
 
イメージ 1
 
 いくら何でも値がゼロという事は、何らかの原因でバルブ等がクラッシュしたか
 
 またはピストンに穴が空いたという事を連想しますが、ヘッドカバーを開けて
 
 確認すると、意外にバルブタイミングは正常。その後ハンドクランクにて
 
 回せる事を確認しコンプレッションの測定を行うと、お客様の申告通りや
 
   はり3番シリンダーの値がゼロと出ました。
 
 
イメージ 2
 
カムホルダーを外すとジャーナル部分に金属粉が。そしてカムホルダー(メタル)
 
側を見てみると・・・
 
イメージ 3
 
カムジャーナルとメタルとのクリアランスはかなりタイトだった、またはオイル管理に問題があったと思われ、メタルが削れて出来た金属粉がホルダーを外した際ジャーナル上に落ちた様です。ヘッド分解後にカムラインは要チェックです。
 
イメージ 4
 
ヘッドを下したところです。外したヘッドのポート側からエアを送ってみますが、
あからさまなリークは確認できず、これでバルタイ、バルブの開閉不良によるコンプレッション「ゼロ」の疑いはなくなりました。いずれにせよ3番だけというのは不自然です。ピストンヘッドも見た目に何か重大なトラブルがあった様には見えません。シリンダー内壁に腐食が多く見られますが、これもコンプレッション「ゼロ」には結びつきません。残る疑いは・・・そうです、ピストンリングのみ。
 
イメージ 5
 
シリンダーブロックを引き抜き、ご対面となったピストンです。1ピースのオイルリングを見てもガスケットの張り付き方を見ても、シリンダー&ピストンは新車時のままだった可能性が高いです。
 
      それはそうと、皆さん何かに気付かれましたでしょうか?
 
イメージ 6
 
 なんとトップリングもセカンドリングも割れてしまいバラバラになっています。
 
      コンプレッション「ゼロ」の正体はこのリングと断定。
 
イメージ 7
 
マグネットを近づけてみると、御覧の様にバラバラになったリングが集まります。
 
イメージ 8
 
因みに、3番ピストンはトップ&セカンド共にバラバラになっていたリングですが、1番&4番もトップリングは割れていました。生き残っていたのは何と2番だけです。
 
イメージ 9
 
摘出したリングです。左から1番のトップリング、そして問題となっていた3番のトップ&セカンドリング、右端は4番のトップリングです。
 
イメージ 10
 
過去にもリングが割れていたという事例はありますが、ピストン自体に明らかなダメージは認められず、リングだけがこの様に何分割にも砕けてしまっているという例は珍しいものです。やはり寄る年波には勝てないという事でしょうか。
 
イメージ 11
カムチェーンですが、数か所に渡りリンクが固着している箇所があり、一部分だけにフリクションが大きく発生し、遠からず破断する可能性が大という状態です。腰上だけの修理で済ませる予定でしたがオーナーさんと相談の上、腰下までキッチリOHという内容になりました。キッチリ直します!
 
 
 

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