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エンジンオーバーホール時の圧縮比

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自分で内燃機加工等手配したりして、エンジンオーバーホールを行ったはいいものの、加工はもちろん組み方にも間違いは無いにも関わらず何だか思ったよりパワー感が無いとおっしゃる方がたまにいらっしゃいます。
 
特にZ2系のノーマルエンジンの場合、圧縮圧力を測ってみると、期待していた程の圧縮が出ていなかったりする場合もちらほらあるようです。
 
加工クリアランスにも問題は無いし、バルブガイドまで打ち換えして間違いなくシートカットも行って、圧縮の漏れなど無いはずなのに、何故?と思われるかも知れませんが、適正に加工したからこそ圧縮が低下する場合もあります。
イメージ 1
 
これは、シートカットにより燃焼室に対して沈む事で燃焼室容積が増えてしまう事に原因があります。
特にバルブガイドを交換してシートカットをやり直すと、バルブは新品位置から0.8mm程度沈む事も珍しく無いのですが、こうなると約1cc程度燃焼室容積が増えます。
そうなると特に排気量の少ない750cc系の場合は影響が出易いわけです。
 
それではどの位圧縮が低下するか。実際に計算してみます。
 
これは、普段自分が計算用するのに作った計算式入りエクセルシートです。
カタログ上の圧縮比から燃焼室容積を計算したり、目標圧縮比にするのにガスケット厚をいくつにすればいいかの計算をするのに使います。
イメージ 2
 
 
例えばカタログ上圧縮9.0:1のZ2の場合、燃焼室容積は19.001cc。
(この場合の燃焼室容積とは、ヘッド側とピストンヘッド側とで形作られる実際の燃焼室のものを指します)
これが1cc増えて20.001ccになると、計算上の圧縮比は8.67迄低下します。
 
750クラスの排気量で圧縮が0.4近くも低下すれば、パワー感への影響も体感出来る位変わります。
 
純正、社外品のピストン問わず、カタログデータ上での圧縮比はあくまで40年前の新品のヘッドによる燃焼室の容量データに基づいたものの為、バルブが沈んだヘッドと共用すれば当然の様に設計値から圧縮比は低下してしまうのです。
 
この低下した圧縮をせめて標準値に戻すには、面研や薄いガスケットの交換が効果的です。
当社でも同じサイズで薄いガスケットを用意していますので、例えば同じ状態で0.2㎜薄い厚さ1.1㎜のものを使用すると圧縮比は8.886
更に厚さ0.9㎜のものを使えば9.114と、新品時の圧縮比を超える事も出来ます。
 
ガスケット厚を薄くする事によるバルブタイミングの遅れ具合やセンターシールリングの潰れ幅も考慮しながらですが、バルブの沈みによる燃焼室容積等を計算したり実測しながら圧縮比設定する事で、思った通りのエンジンになるかが決まります。
 

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