ヘッドボリュームデータの無いピストンの場合は、実測します。
ピストンキットに付属して来る説明書やスペック表には当然の事圧縮比は記載はされているものの、実測に精度で勝るものは無いのとそのまま鵜呑みにして組んでしまうより間違いの無いデータとして残りますので。
経験者は普通に知っている事ですが、ピストンヘッドには凹凸がありますので、トップが沈むまで下げてヘッド同様に液体で満たして測定します。
ピストンはクリアランスがある分、フリーに沈めるとほんの僅かながら斜めになりますので、デプスゲージを使って各部の高さが均等になる様に。
ピストンヘッドが極端に高く無い場合は下げ幅は10㎜に。 何でかと言えばcc単位で計算し易い為です。
ちなみにピストンリングにはグリスを塗って、リング溝や合い口隙間からの漏れを起こさぬ様にしてあります。
ヘッド同様に穴を開けたアクリル板を置いて
ビューレットを使って測定油を流し込みます。
ところで、マニュアルには空気を抜き易くするのに板に穴は2つ開けると記載されており、実際そうする人も多いのですが、自分の場合は穴は1つだけ小さめにしてシリンダーやヘッドを斜めにして空気を抜いてます。
更に注入を微調整し易い様に測定油粘度は低めです。
このあたりは理屈さえ合っていれば作業し易い方で良いでしょう。
粘度が低いので綺麗に空気は抜けました。
入ったオイルは31.1cc。72mmボアなので計算で出るヘッドボリュームは9.61cc
別に測っておいた加工済みヘッド側の容積34.0ccから燃焼室容積は24.39cc
これで1.3㎜厚のヘッドガスケットで組むと圧縮は10.03:1
1.1㎜では10.23:1
0.9㎜では10.56:1
但し、このシリンダーブロックは上下面を0.1㎜ずつサーフェイスで面研していますので、ガスケット厚は実際に組むものより0.2㎜薄いものを組んだとして計算しなきゃいけません。
この為、このエンジンで0.9㎜を組んだ場合は実際には0.7㎜と考えて10.85:1
どの圧縮にして組むかは、カムを含んで考慮して組み手の考え方次第です。
又、実際の測定圧縮比はバルブタイミングやシムクリアランスの設定値によっても変わります。