これはつい先日拝見したある会社のアクティブサスのプロトタイプ。
アクティブサスと言えば、市販されているものではいくつかのモードに切り替えられるセミアクティブタイプ(例えば、都市部,高速巡航,スポーツ)が一般的で、各使用条件や状況において、サスペンションやダンパーで最も望ましい特性が異なるからで、その全てを一種のセッティングで対応する事は現実的では無いという考え方からモード切替えによって対応する様になっています。
ただ、このサスの場合はそういった明確なモード切替でなく、車体各所に装着された各種のセンサーとECUを併用してサーボモーターで無段階にダンパーやプリロードを変化させるフルアクティブサスペンションで、紹介されたのはサスペンションメーカーからでは無く、ECUメーカーさんからです。
例えば車速と回転数にアクセル開度、負圧センサーによるエンジン負荷や重力加速度から走行状態を検知し、プログラム設定されたプリロードやダンピング数値に走行中無段階変化させると言う事です。
当然ながらECUですのでエンジンに対する燃調や点火時期をトータルにもコントロールしており、場合によってはトラクションコントロールによる姿勢の制御まで行います。
昔4輪の世界ではこれを装備した車両と非装備の車両とのラップタイムの差があまりにも大きくなったり、タイヤや車体の限界を超えて危険な程に早く曲がれてしまえる様になった為に禁止される場合もあったりした技術ですが、市販車用部品として入手可能な時代にもなっている様です。
状況に応じて足腰の力の入れ具合を変化させるというものにも等しいですから、機械がより生き物に近づいていると言えないでもないですね。
ゆっくり進んでいるときは乗り心地優先、いざその気になったらふんばる、と言った具合にです。
セッティングはさぞかし大変面白いものになりそうですね。
もちろんライダー自身がそのスキルでオートバイをコントロールする楽しみもそれはそれですが、反面、技術でどこまでライダーをサポートできるのかというのも興味はあります。
又、こういった機構は、オートバイが内燃機関のエンジンを捨て去ってもサスペンションが無くなることはありませんから技術革新は続くのでしょう。