現在OH作業中の1100Rヘッドです。
今回問題となっている部分。向かって左の黒いボルトは社外品ですが比較の為に立ててあるだけです。問題は向かって右側の物。ヘッドカバーを開けたときに「?」と思ったのですが、一か所だけナットで締まっていたんです。要はスタッド方式にしてあるわけなんですが、なぜに1か所なのか?
こちらがそのボルトを取り外してみた物です。細い部分が6mmでその下で太くなり更に8mmの雄ネジが形成されているという上下異径ボルト。なぜこの様なボルトが使用されていたのか。
8mm仕様に拡大されヘリサート処理が施されています。従って、ご覧の様にカムメタルの爪位置あたりはもう薄い壁1枚といった肉薄状態。そして見るからに短そうなヘリコイルに不安をおぼえます。でも、奥底に何か詰まっている様に見えますね?
ヘリコイルを抜き去ってみます。するとドリルの様な物で何とか抜き取ろうと試行錯誤した痕が見て取れますが、結局刃が逃げてしまい周囲の雌ネジを破壊してしまった可能性があります。これはドリル刃またはタップ、エキストラクター等がスタックして折れてしまった物を取り去ろうとして失敗に終わったのかもしれません。
結果、8mmまで穴を拡大してヘリサート、そして丁度この位置はカムホルダーの位置決めをするダウエルPINの入る位置なので、その代わりにボルトの中ほどへ、それに代わる部分を設けたのではないかと推察しています。ある意味随分と手の込んだ修復方法ではあるのですが、やはりヘリコイルの噛み幅が短い事、そして穴底に残留物があるというのは気持ちの良い物ではありません。
これから最善の修復方法を探ります。