短い夏季休暇を終え、昨日より通常営業となりましたPAMSです。この数日間は断続的に良く雨が降り、一時の猛暑からは幾分暑さが和らいだ気がします。
さて、夏休み気分から仕事モードに切り替えます。
今まで何台Zのタペット調整をさせて頂いたのだろう? でも旧い空冷Zと知りながら、意外にもあまり気にされていなかったオーナーさんも少なくはないようです。
実際、長期に渡り点検・調整を受けていなかった車両が(不調)、このタペット調整だけで適正な圧縮圧力を取り戻してしまった例も過去には随分と見てまいりました。
因みに、勝手にそのクリアランスが広がってしまうという事は無く、バルブシート等が摩耗する事によりバルブ(ステムエンド)が上方へと移動しクリアランスは狭くなってゆくだけです。そして狭くなりすぎたり最悪クリアランスがゼロを切ると、本来バルブが完全に閉じなければならないタイミングで閉じ切らない為、正常な圧縮圧力が得られなくなりエンジン不調へと陥ります。
画像上は、専用工具を使用してバルブリフターをある一定の位置から動かない様に押さえつける物で、言わばタペット調整用のリフターストッパーの様な物です。一度リフターを沈ませてこの専用工具をSET、カムとの隙間が出来た所で適切な厚みのシムに交換をします。これが「アウターシム方式」で空冷Zでは1100RとGPZ1100以外のモデルは全てこの方式です。リフト・作用角の大きなカムを用いる場合には、高回転化に伴いインナーシム化する場合もございますが、インナーシムタイプはその都度カムシャフト自体を脱着する必要があり、メンテナンス性という面で見るとこのアウターシム方式の方が何倍も優れています。
また調整と同時に、その他異常個所等の点検等も行う為、事前に他のトラブルを防ぐ事にも繋がります。画像はそんなタペット調整を仲良く待つ二台のZ1。
各厚さごとに振り分けられた新品純正シム達。USEDでも問題なく使用できる物もございますが、シム自体をしっかりチェックしないと、既に偏摩耗していたり歪んでいたりする事もあるので要注意です。
それなりの距離は走破しているのに、今まで一度も点検調整した事がないという車両で調子が今一つという場合、点火やキャブもそうなんですが、このタペットクリアランスを一度点検される事をオススメしています。