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バルブの沈みと圧縮比の関係

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オーバーホール時にシリンダーヘッドに内燃機加工を施す場合、バルブガイドの交換の如何に関わらずシートカットは行うと思います。

この場合シートリングの当たりを出す為に切削加工を行いますから、バルブは必ずシリンダーヘッドの燃焼室内壁に対して沈む事になります。

問題はこの沈みによってどの程度燃焼室の容積が変化し、それが圧縮比に影響するかです。

このシリンダーヘッドは、新品時より一度も加工された事の無いオリジナルでした。
今回のオーバーホールの為にはじめてシートカットしたものです。
イメージ 1


さて、内燃機加工前に同様の方法でヘッド側容積を測定しましたところ34ccぴったりでした。
今回のシートカットによってどれだけ容積が増えたか測定したところ、1.1ccの増加です。
但し、同時にガスケット当たり面の腐食荒れを取り除く目的で0.1mmの研磨を施しましたので、これを計算してやると、面研を施さなかったとしたら更に0.34cc増えていたという事になります。

合計1.44ccの燃焼室容積増加です。

イメージ 2


これが圧縮にどれだけ影響するか。
例えば、設計上圧縮比9.0:1のZ2やZ750 four, FX1であった場合、圧縮比は8.53:1  実に0.47のダウンです。

ちなみに、燃焼室容積が同じ量だけ変化しても、分母である排気量自体が大きい場合は、その影響は小さくなっていきます

設計上圧縮比8.7:1のKZ1000の燃焼室容積が同じ量増加したとして、圧縮比は8.38:1 低下量は0.32

750クラスのZをオーバーホールすると、思ったより圧縮が上がらないという場合があるのはこのせいでもあります。

どちらにしても、バルブの当たり面を綺麗に密着させて性能回復の為の加工を施した事で、実は設計上の圧縮低下を起こしている事もあり得るわけです。

写真のヘッドの場合、ビッグボアピストンを使用するのに、意識的バルブ当たり面を外側にしてやっています、シートカットをすれば必ず1.44cc容積が増えるわけではありませんが、少なからず燃焼室の容積が増えるのは間違いありません。
内燃機加工を繰り返してバルブの沈み幅がある程度大きくなった場合は、シートリングの交換等でバルブの沈みを抑える事も考える必要はあります。
特に純正仕様でのオーバーホールの場合は、ピストンやガスケットでの圧縮比調整が困難な場合がありますので。


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