雪深い(と思われる)米どころ新潟県より正月早々届いた荷物。
お米や餅ではありません。
コッキーネットさんより”紙ヒコーキ。”ブランドでデリバリーされているインジェクション用ECU一式です。
今回届いたのは、8bit版のSP-TDC V120。32bit版のV140の発売も決まってはおりますが、まずは使ってみてどの様なものか把握するのが先決です。
さて、8bitだからと舐めてはいけません。もちろん同時に処理出来る情報量は32bitの方が多いものの、要はソフトの組み方です。
1990年代前半のオートバイ用イグナイターは殆どが8bitでしたし、メジャーどころでは1989~94迄のスカイラインGT-R(R32型)のECUも8bitです。
年代を追うにつれて自動車用のECUも16bit,32bitと進化しましたが、ハード的に整備の行き届いている当時の車両を現代乗っても8bitだから乗り難いだの性能が低いだのと言う印象は受ける事はありません。
もちろんソフト屋さんに言わせると、少ない計算容量であれこれ知恵を絞らずに済むのでソフトウェアを組むのは楽なのだそうですが、きちんと組まれたソフトが動いている限りは、余程大量のデータの演算を行わなければ8bitでも充分動きます。
これが、各種のセンサーをあちこちに付けて補正パラメータを増やした上に全てを取り入れて点火や燃調を制御するならともかく、2輪のフルコン化自体がマイナーで、弄れる人間自体が少ない現状からメジャーなものにしていく為にはシンプルな方がベターです。
V120の特徴とも言えるセッティング用のコントローラー。
設定してボリュームを廻すだけで、エンジンを稼働させたまま点火時期を変更したり、燃料の噴射量を増減出来ます。
これって非常に便利な機能で、通常フルコンのデータマップ作成時には、排気量にアクセル開度ごとの吸気量とその空燃費に応じた噴射量を計算してデータを入力せねばならないのですが、この機能を使うと例えば最も大変な始動時噴射量を決めるにもクランキングさせながらボリュームを廻してエンジンがかかるところが大まかに正しい始動時噴射量といった感じにアナログ観念的にセッティングが可能になります。
もちろん、ソフトウェアの簡単な使い方は憶える必要がありますが、かなりの部分がハードが変化しない限り最初にのみ行う初期設定ですので、習得してしまえばさぞかし楽しいセッティングワールドが待っている筈です。
エンジンを止める事無く、キャブを外す事も無く点火時期やセッティングの変更が自由に出来る事を想像してみてください。
特に燃調については、セッティングの為に必要な各種のジェットやニードルを多数準備する必要はありません。
もちろんこのECUセットですが、あくまで汎用のものです。従って現状乗っているバイクにホイホイカプラーオンでインジェクション化が完成する様なものでは無く、いくつか製作せねばならない部品や用意しなければならないものはそれなりにありますし、この部分は新型のV140でも変わりません。
そういった面倒臭い加工や組み付け作業をニコニコしながら出来る変態的趣味人やノウハウを持っている特殊な人は別にして、普通のユーザーにはここの部分が最も手間がかかったり難易度の高い部分です。
当方では、これを一般ユーザーに対してなるべくハードルが下げられる様、自らも使い考えながら、専門知識やノウハウが無くてもセットアップ出来る様に間口を広げられるようなキット化出来る様にして行こうと考えています。