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確変モードになる前に・・・

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       前回の続きとなります→ http://blogs.yahoo.co.jp/pams_jp/62870891.html
 
 
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オーナーさんと相談した結果、キチンと上から分解し、悪い所があれば手を入れましょうと言うことに。メインイベントは勿論、確変モードに入って玉がジャラジャラと外へ飛び出す前に発見されたアウトプットシャフトを支えるベアリングの交換です。遠くない過去にきっちりと腰上のOHは済んでいるといった場合、エンジン自体をひっくり返してCケースだけを割って対処する事も可能ですが、そうでないのならこの際チェックも兼ねて上からセオリー通り分解がベストです。
 
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見た所、以前に腰上のOHは施されている様です。数点気になる箇所があり後日点検、計測します。排気量は0.5mmオーバー、バルブはJ系ビックバルブ仕様となっていました。純正ピストンにJ系バルブをビックバルブとして使用する際は、ステム長の違いからシートカット追い込み量を増やす事となり、圧縮比の低下を考慮する必要があります。
 
 
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取り外したオイルパンには、あちらこちらにベアリングリテーナーの破片と思われる金属片が散乱していました。この破片がオイル交換の際に発見され、今回の修理となったわけです。
 
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しつこい様ですが、本当にボールが外に飛び出す前で良かったです。上記リンクを見て頂くと解りますが、走行中一歩間違えると本当に危険です。
 
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少々コマ送りとなりますが、腰下をスタンドにSETし既に上下ケースを割った状態です。ここでこのエンジンが以前誰かの手によりチューニングされていたという事実がハッキリとしました。オーナーさんは現在の状態で個人売買にて車輌を入手しており、実際にエンジンがどの様な状態にあるのかを把握は出来ていなかった様です。
 
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まずはクラッチハブ。ご覧の様にダンパースプリングが純正のスプリングから社外品に交換されているのがわかります。更に、カシメPIN部分が溶接にて補強されています。この手法は主にアメリカ等で当時流行ったイジリ方で、ドラッグレース等で酷使した場合に、このカシメ部分が緩んだりするのを防ぐ為に行った処置だと思います。ただ、少々パワーを上げてもストリートレベルで常識的に使用しているのであれば、スプリングの強化もPIN溶接も必要無いと思っています。因みに、スロットルOFF時にンガッツ~ッツっと共振音の様な嫌な振動と音が発生する車輌のエンジンを開けると、この様に何かしらクラッチハブにイタズラが施された車輌が多いのも事実です。
 
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そしてトランスミッション。結構派手にアンダーカットが施されています。こちらも闇雲にカットを施すと、著しく耐久性を落とす場合があり注意が必要です。
 
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最後はこのクランクのメインベアリングキャップ部分。なんだか見慣れた絵ではありませんよね?実はコレも当時アメリカでは割とポピュラーだった物。どうなっているのかと言うと・・
 
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この様になっているわけです。本来のベアリングキャップにあるリブや凸部分を全て一面フラットになるまで削り落とし、その上に分厚い鉄のプレートを載せて固定すると言う物。クランクセンターの支持剛性を上げ高回転域で発生する振動やそれによるトラブルを防ぐためと言う事なんでしょうね。しかし、元々在ったリブを削り取って、そこへこのプレートを被せた所で差し引きどの程度の効果があるのかは謎です。商品名は忘れましたが、今でもアメリカでは販売されている強化パーツだったと思います。厚い鉄のプレートに四箇所ボルト穴を空けただけのシンプルなパーツです。
 
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こちらが今回の主役、大事に到る前に無事摘出されたアウトプットシャフトを支えるベアリングです。見事にリテーナー部分が消失しています。
 
これらを通して見えてくるのは、少なくとも腰下はそれなりにパワーも出した上で酷使されていた可能性のある個体で、何かの際腰上のみほぼSTDスペックにてOHを施されていたと言う過去です。酷使されていた腰下が今回先に音を上げたのかもしれませんね。この様な症例を診ると、やはりOHは基本的に腰上、腰下と同時が安心だと解ります。
 
これから更に各部を点検し、どの様な形でメニューを組んでゆくかオーナーさんと相談です。
 
 
 
 
 

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