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TPS

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市販車の全てが電子制御インジェクション化される前に純正の負圧キャブレターを採用する殆どのモデルには、この様なスロットル開度センサーが採用されていました。
 
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これが何の役目をするかと言えば、文字通りスロットルの開け具合をイグナイター側で検知させて回転数と比較する事で、現状の運転状態が低負荷であるか高負荷であるかを判断して点火時期に反映させる様になっています。
 
例えば、回転数は2000~3000rpmでアクセル開度がほんの僅かしか開いていないとなればそれは巡航中の低負荷運転です。
混合気量も絞られているのですが、負荷も少ない状態ですから点火時期を進めて効率良く燃やす事が出来ます。
結果、アクセル開度の割にはどんどん前に転がるようなフィーリングになります。
 
例えば3000~4000rpmでアクセル開度が全開になったとします。
この回転数域でいきなり全開にしてもスロットル廻りの流速は高まりませんしガスも不足気味になります。
キャブレターはいきなり全開にしても負圧差と流速に応じたガスしか供給はしませんからなおの事空燃費は薄くなります。
(空燃費計でスロットル開度と同時にモニターすると一気にリーン方向に数値が振れるのが確認出来ます)
加速を目指すこの状態で点火時期が巡航状態のままだとノッキングは必至ですので、イグナイターは点火時期を高負荷時用に遅らせます。
 
この様にTPSを装着する本来の役目は、特にアクセル開度の少ない低負荷領域で点火時期を進める事でバイクを軽く前に進め、回転数の割にアクセル開度が大きくなった場合には点火時期を遅らせる事でノッキングを防止するというものです。
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この為、中低速のガスを絞ってもアクセルに対してもたつく事も無く、燃費の良くなる様にセッティングが可能となりますから、純正の負圧タイプキャブには特に相性が良いものです。
 
逆に、加速重視のレース用セッティングを施したFCRやTMR等の強制開閉キャブの場合、低中速でのパーシャル走行はありませんし、基本的にアクセルを開く=高負荷加速状態です。
開度センサーを装着するとキャブセッティングの良否判断がわかり難くなったりする為、一度装着しても取り外すか、データロガーのみへの接続でイグナイターからは切り離してあったりする場合が多かった様です。
 
ちなみにダイノマシン等でパワーチェックを行う場合、中開度から一気に加速させて測定しますから、殆どの回転数で高負荷状態での遅角気味の点火時期です。
従って、計測されるピークパワーにTPSの有無はまず反映はされません。
 
 
もちろんTPSが付いていると、上記の通りストリートセッティングを行ったマシンの場合、中低速域でのメリットはあります。
ただ、後付けでこれをキャブに装着となると、それなりの手間やコストはかかりますから(Zの純正キャブなんかは事実上不可能です)TPSを使うにも何か他の手段を考えてみましょう。
 
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又、本来アクセル開度自体を測るのが目的ではなく、エンジンの負荷状態を知ることにあるわけですので、吸気圧をイグナイターにフィードバックする方法もあります。
例として初期のゼファー1100では、開度センサーではなくバキュームセンサーがイグナイターに接続されていました。
昔の乗用車で、進角を機械式のデスビに頼っていたものでも、吸気圧を接続して進角制御に利用していたものは多いです。
 
こちらはゼファー1100時代のものより遥かにレスポンスに優れた現行車用吸気圧センサー。
インジェクション車のエンジン負荷状態をECUにフィードバックしたり、複数装着して大気圧補正を行うのに使われています。
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