プラグホールとシートリング間クラックも、ヘッド面の大きな歪みも無い、わりと素姓の良いZ1用シリンダーヘッド。
こういったヘッドを見ると安心します。
バルブガイドの製作交換とシートカットの前にバルブ突き出し量を点検してから加工依頼に出します。
新品のバルブを挿し込んで
タペットホール底からの高さを測定します。
ちなみにメーカー側の新車時の基準寸法が37.2mmとなっています。
この値の突き出し量にしてやると、適正なタペットシムを選択出来る様になっています。
測定すると最も長いもので37.8mm。
他は大体37.3~37.5mm
このヘッド、以前にエンジンを開けたと思われる痕跡がありましたので、一度位はシートカットを行っているのではないかとも思われますが良好です。
この突き出し量が大幅に増えている場合は何度もシートカットが行われてバルブがヘッドに大幅に沈んでいる事になりますので、燃焼室容積が広がって圧縮比が落ちたり、バルブコッタ―溝の位置関係やシムの厚さのラインナップの関係で純正のバルブが使用出来なくなったりします。
この場合はシートリングを打ち換えるか、このヘッドはステム長の異なるバルブを使ってチューニングエンジンの製作用にするかとなります。
さて、Z系のエンジンは古いが故に既に何度か内燃機加工されている場合があります。
こういった測定を行わずにシートカット依頼他の加工依頼を行ってしまった場合、上記の様に予想に反して低圧縮になるのはいい方で、ステムエンドを研磨して突き出し量を合わせたバルブを組んだら、リテーナーやコッタ―面よりステムエンドの方が低くなったなんて笑えない事態が生じます。
以前に分解したエンジンですが、やはり組み始めてからそうなっている事に気付いたのか、リテーナーやコッタ―をベルトサンダーか何かでガリゴリ掘って無理矢理ステムエンドを出して組んであるものを何度か見た事があります。
どんなに腕の立つ内燃機加工業者に依頼するにしても正しいレシピを指示しなければいいエンジンにはなりませんから、履歴や現状の把握は大事です。