当社所有のZ1000Jをインジェクション化するのに、お客さんへのフィードバックを可能にする為のノウハウ蓄積といった一面もありますので、なるべく車両側や既存部品の加工を行わずに実現させるという事を目標にしています。
現行車のインジェクションはインタンク方式、フューエルポンプもフューエルレギュレーターもタンクの中に収納されてポンプ自体が発生する熱もタンク内のガソリンが冷却する様になっていますが、Zを同じ様にするにはタンク底を切り欠いて大きく加工する必要があります。
そうなると加工コストの問題はもちろん、オリジナルだったり塗装済みのタンクを加工するのはどうもと言った問題が出てきますので、ポンプレイアウトは以前のインジェクション車(4輪2輪含む)と同様に外部に据え付けるインライン方式を使います。
この場合、プレッシャーレギュレーターからタンク側にガソリンを戻すラインが必要になるので、戻し側ラインをタンクに接続する必要がありますが、元からインジェクションのZ1100GPやGPZ1100意外にはその為の注入口がありませんから工夫する必要があります。
タンク下にワンウェイバルブの小さなボスを溶接という手もあるのですが、今回は完全無加工で行ってみましょう。と言っても、既にやっている人がいるので基本的にはそれと同じなのですが、製作部品はなるべく少なくという事で既存品の組み合わせです。
市販のピンゲルコックのオフセットマウントアダプター
穴を開けて新しくネジ山切って
ネジ山に合った市販のホースアダプターを捩じ込みます。
このアダプターはネジ部分に対してホース部分が自由に回せるので、同じ高さの90度の物でも隣同士に取り付け出来、絞め付け後でも方向を簡単に変更出来ます。
この部分にはインジェクションの為の燃圧も大きくはかかりませんから、シール的にも問題は出ません。
余談ですが、ガソリンラインのシールテープはテフロン系等の耐ガス特性のあるものを、ネジロックの代用にする位なら水道用でも問題はありませんが、ガソリンの通るところに使うと浸み出てきてしまいます。
ホースの取り出し方向を真下に向けてもレイアウト的に問題が無ければ、片方もしくは両方共自由回転するものを使う必要は無いので更にコストダウンは可能ですが、この部分を自由に回せるのは意外と便利です。
リターン側には真鍮パイプを挿し込んでエポキシ接着剤で固定、ポンプを通って戻って来る温まったガソリンがすぐに循環しない様に下側のガソリン取り出し口から距離を置きます。
もちろんこの方法だとマウント部分にコックの機能が無い為、タンクの脱着を考えるとホースの途中にシャットオフバルブかインラインコックが必要です。
又、リザーブも使えませんから、燃料計の装備されていない車両の場合は他の方法を考えるかタンク側に小さくリターン側のボスを取り付けるか、もしくは給油タイミングを走行距離で管理して早めに行うかとなりますが、これはちょっと馴れるまで面倒かも。
それ以外に、最近の純正スロットルボディを流用する場合は、フューエルラインの接続にクイックコネクターが使われている場合が殆どなので、それ用の汎用コネクタージョイントを用意します。
ガスケットはとりあえずハンドメイドで、アダプターをヘッド側にマウントするのに使うものと、インシュレーターとマウントの間をシールするもの。
ヘッド側(右側) はガスを吸って膨らんでシール効果が高まるタイプ、インシュレーター側(左側)のものは固めの素材表面にニトリルゴムを薄く塗布してあるタイプの2種類です。
それにしても夜中に方眼紙で型紙作ってガスケット切ってると夏休みの自由研究をぎりぎりでやっている様な気分になってきましたね(笑)。