基本的な構造は変わらないままとはいえ、素材の進化で性能が向上する例はいくつもあります。
オートバイにおいては発電系のフライホイール(マグネットローター)がその一つで、容積に対して磁束密度の高い希土類マグネットの導入で大幅に軽量小型化された為、80年代には多くのスポーツバイクがバンク角確保の為に発電機をクランクケース背面に装着されていたものが、’90年代中期から現代ではZ系と同じくエンジンサイドに戻されるものが殆どとなりました。
背面化する為にベルトや、ギア、チェーンで駆動するとどうしても部品点数が増え、それによるフリクションロスやトラブルや重量増は避けられませんから、特にスポーツバイクの場合、クランクシャフトへダイレクトに発電機を装着できるメリットは大きいです。
マグネット部分の比較。
左が希土類マグネットを使用した最近のもの、左側は80年代になるまで主流だったフェライト系マグネットが使用されたZ1000Mk2のもの。
驚く程薄くなっているのがわかります。
この薄さでありながらマグネットとしての性能はフェライト系のものより遥かに強力で、うっかりステーターコイルを落とし込もうものなら取り外しには結構苦労する程です。
昨今の車両はインジェクションの採用もあって消費電力が増えていますので、それに対応できる性能も必要なのでしょう。
高さ比較。
どちらもワンウェイクラッチを装着した状態。
実はこの軽量ローターは、Z1000mk2やZ1000J、Z1000R等のアウターローターZ系に装着使用できるキットとして製作されたものです。
非常に興味深い製品なので、取り寄せして実際に使用テストしています。
ここまでローターが小型化されれば最近のマシンではないですが、ジェネレーターカバーの加工次第で相当なバンク角の向上が期待出来そうです。
又、Mk2やFX1系の場合は不可欠なフライホイールが廃盤となっていますが、リプレイスとして使えそうです。
始動の為のワンウェイクラッチもZ系の3ローラー式から現行車両にも採用されているカム式クラッチとなる為、耐久性も大幅に向上する事でしょう。
STDエンジンはもちろん、コンプレッションを高められたチューニングエンジンにも向いていると思われます。