入庫したwossnerピストンの検品中
このピストンはZ1~Mk2系用71mmボア
設計圧縮比は10.0:1となっています。
同じボアのワイセコピストンのラインナップのものが10.25:1
短絡的に数値のみを見るとwossnerキットの方が低圧縮仕様に受け取れますが、
wossnerピストンの場合は、ヘッドガスケット厚さの設定がZの純正と同じ1.3㎜
対してワイセコの場合は標準付属の1.1㎜設定となっている様です。
又、wossner キットの場合はガスケットが付属しませんので、71㎜ならKZ1000用の純正もしくは当社で製作している様な社外品を使用します。
これをワイセコと同じく1.1㎜にして圧縮比計算すると10.26:1 と実はワイセコとほぼ同じ
ちなみに0.9㎜のものを使用したとすると10.53:1
ヘッドガスケットが付属しない分、用意する際の厚さを変更する事で、圧縮比を変更する事が出来ます。
仮に0.7㎜にしたとすると10.81:1と、空冷Zの圧縮比としてはかなり高い方になりますが、この場合はカムチェーントンネルセンターシールの潰れ幅が大きくなり、シールの耐久性に不安が生じる場合がありますので、このレベルの圧縮に設定するのであれば0.2㎜の面研と0.9㎜ガスケットとの併用が望ましいです。
但し、エンジンのメニュー立てはバランスが大事です。
圧縮比設定が高いエンジンの場合は、カムシャフトのリフト量に作用角、バルブタイミングの設定も正しく行わなければ、中低速のピックアップやトルク感が増した反面ノッキングに悩まされたり高回転域への吹け上がりが鈍くなったりしますので、ハイチューニングを行う場合は正しくエンジンを知るプロフェッショナルと相談の上行う事が大事です。
以前にも書きましたが、圧縮比設定と実際にコンプレッションされる圧縮圧力とは別物です。高圧縮比イコール早いエンジンではありません。
程々の圧縮比で組んであるエンジンがむしろ高回転まで一気に廻って、実際に乗ると速くて面白いマシンになっている例は幾らでもあります。