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Z用焼結材バルブガイド

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焼結合金という言葉を聞いた事はありますでしょうか?

極小微細な金属パウダーを圧縮した状態で金属の融解点以下の温度に加熱する事で焼き固める(焼結)事で製作される合金です。

溶融させて金属分子を結合させているわけでは無い為、パウダーの大きさや焼結時の温度によって金属素材の配合が同じでも密度を変えたりと様々な特性を持たせる事が出来ます。
例えば、合金素材に無数の気孔を作り、この気孔に潤滑油を含浸して自己潤滑性を利用した焼結含油軸受け(オイルレスベアリング)は古くから使用されています。

以前にスプロケットの内側に入るカラーについての記事を書いた事がありますが、これは含油性を重視して作られた焼結合金です。


又、素材を完全に溶融させる鋳鉄素材と異なり、パウダー状態のものを固める事で素材密度や成分分布の偏りが発生し難く、より均一な合金を生産する事、そして鋳造より強靭かつ摩耗耐性に優れる素材を大量に生産可能になります。

この為、レシプロエンジンのバルブガイドやシートリング等に使用するのに非常に適しています。
ただ、密度が高く耐摩耗性に優れる鉄系焼結素材は技術的ハードルが高く、量産車に導入できるレベル迄生産技術が向上したのは1990年代後半。
この頃に各自動車メーカーや素材メーカーによる焼結バルブガイドについての製法特許が多数出願されています。
更に本格的に生産されて導入される様になったのは乗用車でも21世紀に入ってからです。

この鉄系焼結バルブガイドの導入で、量産性に優れながら従来の鋳鉄ガイドに比較しても大幅に耐摩耗性を高める事が出来る様になったとの事。
確かに現代生産されるエンジンは昔のものに比較すると遥かに長距離を使っても消耗が少なくなっています。

この様に非常に優れた素材ではあるのですが、実は新しいがゆえにメーカーより供給されるのはエンジン自体や車両を生産する大メーカーに限られ、一般加工用素材としての供給が殆んど無く、実は内燃機加工用としての入手が難しいのです。
(製造時に焼結用に専用の金型が必要になるのも理由です。)

当社でもZ系エンジンのオーバーホール時にこの素材を使用してはおりましたが、ベースにしてきたのはある最近の4輪車両の純正バルブガイドをベースにして追加工を施しているものです。

この為、オーバーホール依頼時には使用出来てもパーツとして現実的な価格と数を供給出来ませんでしたが、この先の生産を前提に金型製作から行う事で素材の入手が実現しました。

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この度製作したものは、Z系純正の外径12.06mmに対して交換用のもので、12.08mm。
消耗したヘッドのガイドを抜いて同寸のガイドでは緩みが生じ、だからと言ってオーバーサイズとして太すぎるとヘッド側にクラックを発生させる場合がありますので、経験上これが適正なサイズとしています。

又、外面、内面共にオリジナルのものより大幅にレベルの高い研磨を施す事で、交換時の滑りと、ヘッド側母材との密着度を上げる事で熱伝導性を向上させています。

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更にチューニングにおいてのハイカム化により、バルブステムシールリップとリテーナーやコッタ―が接触して破断する対策として、組み込み時のシール位置が純正比較で0.7mm低くしています。

使用対象はフルSTDのオーバーホールからサーキット走行の専用車両迄、
エンジン製作時には是非ともご検討下さい。


※注意 初期のZ1系エンジンのインテークバルブ(角型のバルブコッタ―溝が入っているタイプ)は鉄系バルブガイドと併用するとバルブステムが摩耗し易くなります。
その場合、Z1000 以降の丸型のコッタ―溝が入っているインテークバルブと、丸溝用の同バルブコッタ―を使用する様にして下さい。

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